1変数対訳文パターンによる対訳句抽出手法[23]とは,全対訳文パターンより,変数が1つである対訳文パターンのみを利用して対訳句の作成を行う手法である.
1変数対訳文パターンによる対訳句作成手法では,
7章において利用している,
複数の変数が含まれる対訳文パターンを用いる手法により作成された対訳句(以下,多変数対訳句と呼ぶ)と比較して,非常に高い精度で対訳句を抽出することが可能であるという報告がある.
よって,本節では1変数対訳文パターンによる手法を用いて対訳文より作成した対訳句(以下,1変数対訳句と呼ぶ)をNMTの学習データに追加する実験を行う.
ただし,森本らの提案した1変数対訳文パターンによる対訳句作成手法では,現状,変数部と対訳文パターンの照合が比較的難しい重文複文においては対訳句の作成が困難であるという課題点がある.したがって,本節では7章の実験で利用していた重文複文コーパスは利用せず,単文コーパスを用いて実験を行い,1変数対訳句を追加する手法の有効性を検証する.