また,未知語処理の実行に成功した文のうち,提案手法○とした例を表8.4に示す. この例では,入力文中の単語``香辛料''が低頻度語(頻度3)である. 提案手法の未知語処理前の出力文において,``香辛料''が未知語として出力されており,最終的な出力文では対訳単語辞書を用いた未知語処理によって`` spices''と置換されている.未知語処理後の出力文は,文法的な正しさを多少欠いているが入力文の意味を概ね推測できる文と考えられる.ベースラインの出力文では``香辛料のきいた食べ物''を``sacred food''と翻訳している.文法的には提案手法よりも正しいが,入力文の意味と大きく異なっている.
この例のように,出力文中の未知語を文法的に妥当な位置に生成した上で,対訳単語辞書を用いた未知語処理において比較的正しい訳語を選択できた例が,表8.3における提案手法○の結果56文中51文あった. またこの例のように,提案手法では出力文の文法性(あるいは流暢性)がベースラインより多少低いものの,正確性が高い出力文が得られる傾向にあった.