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品詞間における類義語の使い分けに関する特徴

本研究では,品詞間における類義語の使い分けに関する特徴も得られた.

まず,名詞の類義語では文中の名詞が使い分けに関し,重要な情報となることが多いことがわかった. 例として,「予想」「予想」という名詞の類義語の組では,表5.18より「予想」の有用な素性としては「相場」「利益」「競馬」,「予測」の有用な素性は「在庫」「科学」「災害」などのように文中の名詞が多くあった.このように文中の名詞から類義語の使い分けに関する傾向がわかる.

また,副詞の類義語では修飾先の語,または修飾先の語の品詞が使い分けに関し,重要な情報になることが多いことがわかった. 例として,「おおよそ」「おおむね」という副詞の類義語の組では,表5.20より,「おおよそ」は修飾先が名詞になることが多く,「おおむね」は修飾先が形容詞,名詞となることが多いことがわかった.このように副詞の類義語は修飾先の語から使い分けに重要な情報が多いことがわかる.

先行研究の強田ら[1]の研究では「貯金」「貯蓄」という名詞の類義語対の使い分けにおいて有用だった素性について「貯金」の素性では「定額」「郵便」「郵政省」,「貯蓄」の素性では「投資」「米国」などであり,文中の名詞から使い分けの考察を行なっている. また,中瀬[2]の研究では「きわめて」「だいぶ」という副詞の類義語対の使い分けにおいて有用だった素性について「きわめて」の素性では修飾先の最後が形容詞,「だいぶ」の素性では修飾先の最後が動詞などであり,修飾先の品詞から使い分けの考察を行なっている.他の類義語でも同じような傾向であった. このように強田,中瀬らの研究からも,本研究から得た品詞間における類義語の使い分けに関する特徴の傾向が確認できた.



root 2018-02-28