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「予想」「予測」

(正解例1)
この判決に力を得て、不満の声がさらに噴き出すことも予想される。
(正解例2)
地震の発生確率を予測する政府の地震調査委員会。
(誤り例1)
その予想(予測)通り、翌日、近衛内閣を倒した東条陸相に組閣の大命が下った。
(誤り例2)
この区間を別ルートで通す新東名の開通で、今年の渋滞は2回と予測(予想)、ほぼ解消されるとみている。

5.16に類義語の組「予想」「予測」の機械学習の分類結果を示す. 表5.17に類義語の組「予想」「予測」の有意差検定に基づいた機械学習が参考にした素性を示す. 表5.18に類義語の組「予想」「予測」の正規化α値に基づいた機械学習が参考にした素性を示す.




表 5.16: 機械学習の分類結果(「予想」「予測」)
  データ数 再現率 適合率 F値
予想 5000 0.81 0.82 0.81
予測 5000 0.82 0.81 0.81
総数 10000 0.81 0.81 0.81




表 5.17: 機械学習が参考にした素性(有意差検定:「予想」「予測」)
予想 予測        
素性 頻度(p値) 素性  頻度(p値)      
素性2:さ(直後) 2034 素性2:する(直後)  496      
( $ 3.45\times10^{-263}$ )    ( $ 1.10\times10^{-49}$ )      
素性2:れる(2語後) 1430 素性1:地震  373      
( $ 9.36\times10^{-257}$ )    ( $ 2.45\times10^{-50}$ )      
素性2:以上(直後) 318 素性1:システム  168      
( $ 3.00\times10^{-94}$ )    ( $ 1.90\times10^{-33}$ )      
素性2:外(直後) 247 素性1:データ  139      
( $ 2.43\times10^{-65}$ )    ( $ 2.01\times10^{-23}$ )      
素性1:業績 193 素性2:拡散(直前)  71      
( $ 6.09\times10^{-35}$ )    ( $ 4.24\times10^{-22}$ )      




表 5.18: 機械学習が参考にした素性(正規化α値:「予想」「予測」)
予想 予測
素性 正規化 $ \alpha $ 素性 正規化 $ \alpha $
素性1:相場 0.85 素性1:在庫 0.85
素性1:利益 0.84 素性1:原発 0.84
素性1:競馬 0.80 素性1:科学 0.80
素性1:値動き 0.74 素性1:災害 0.76
デフォルト素性 0.57 素性1:豪雨 0.75

「予想」は「予想される」という表現が多いのに対し,「予測」は「予測する」という表現が多かった.また,「予想外」や「予想以上」のように直後に「外」「以上」がある場合,「予想」と書く使い分けが存在することがわかる.「予想」は「業績」「競馬」「値動き」など幅広く物事を推測する場合に使われ,「予測」は「地震」「豪雨」などの災害を推測することに使われやすい.また,「システム」「データ」「科学」などから「予測」は科学的根拠に基づく推測に使われるとわかる.

また,文献[5]によると以下のように書かれている.

「予測」「予想」は将来のことを前もって見当をつけて,どうなるかを推測することだが,「予測」のほうが,データなどに基づきより具体的であることが多い.

文献[5]と素性分析の結果を比較し同じ結果となったことを以下に示す.「予想」は「システム」「データ」「値動き」のようにデータに基づいたことには「予測」を使うということが同じであった.

文献に載っておらず,素性分析から新たにわかったことを以下に示す.「予想」は「される」,「予測」は「する」というような表現が多かった.また,「予想」は「相場」「利益」「競馬」「値動き」など「お金」が関わっていることによく使われ,「予測」は「地震」「豪雨」などの災害を推測することに使われることが新たにわかった.

文献に載っているが素性分析からは得られなかったことはなかった.


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root 2018-02-28