表5.10に類義語の組「発展」「発達」「進展」「進歩」の機械学習の分類結果を示す. 表5.11に類義語の組「発展」「発達」「進展」「進歩」の有意差検定に基づいた機械学習が参考にした素性を示す. 表5.12に類義語の組「発展」「発達」「進展」「進歩」の正規化α値に基づいた機械学習が参考にした素性を示す.
データ数 | 再現率 | 適合率 | F値 | |
発展 | 2500 | 0.79 | 0.80 | 0.80 |
発達 | 2500 | 0.81 | 0.83 | 0.82 |
進展 | 2500 | 0.85 | 0.86 | 0.85 |
進歩 | 2500 | 0.80 | 0.76 | 0.78 |
総数 | 10000 | 0.81 | 0.81 | 0.81 |
「発展」は「経済」「産業」「地域」「世界」などがより良くなることに使われる.「発達」は「気圧」「積乱雲」など気候に関することや「子ども」「体」「精神」など心身の成長などに関して使われる.また,「コンピューター」や「インターネット」にも「発達」が使われる.「進展」は「交渉」「協議」など話し合いが進むことに使われる.「進歩」は「医学」「技術」「科学」は学術的なことが進むことに使われる.また,「発展」は「経済的発展」のように「的」が使われる表現が多い.「進展」は「機械化の進展」のように「化」が使われる表現が多い.「発達」は「未発達」というが,「進展」は「進展がない」のようにいう.デフォルト素性は「進歩」が一番高かった.
また,文献[5]によると,以下のように書かれている.
「発達」「発展」「進歩」の3語は,技術・学問・文化などについて,物事が進んで前より上の段階に入ることを意味する.「発達」は,発育してより完全な方向に近づくこと,より規模が大きくなることを表し,筋肉などの器官や台風などに関しても使われる.一方,「進歩」はより望ましい良い方向へ進むことに用い,「発展」は物事の勢いが伸び広がることの意に用いる.「進展」は,物事の状況が時間の経過とともに変化し,新たな局面を迎えることで,その進む方向については特に良否を問題にしない.
文献[5]と素性分析の結果を比較し同じ結果となったことを以下に示す.「発達」は,「体」や「積乱雲」など体や気候に使われ,「進歩」は「医学」などがより望ましい良い方向へ進むことに使われ,「発展」は「地域」などの勢いが伸び広がることに使われ,「進展」は,「交渉」などの状況が時間の経過とともに変化し,新たな局面を迎えることに使われるという点が同じだった.
文献に載っておらず,素性分析から新たにわかったことを以下に示す.「進歩」は技術・学問に関して使われ,「発展」は文化について使われるとわかった.また,「経済的発展」のように「的」や「機械化の進展」のような「化」などの文献に載ってない使い分けに役立つ情報も素性分析から得られた.
文献に載っているが素性分析からは得られなかったことを以下に示す.「進展」の進む方向について良否を問題にしないということは,素性分析から考察することはできなかった.