表5.7に類義語の組「言う」「話す」の機械学習の分類結果を示す. 表5.8に類義語の組「言う」「話す」の有意差検定に基づいた機械学習が参考にした素性を示す. 表5.9に類義語の組「言う」「話す」の正規化α値に基づいた機械学習が参考にした素性を示す.
データ数 | 再現率 | 適合率 | F値 | |
言う | 5000 | 0.74 | 0.78 | 0.76 |
話す | 5000 | 0.79 | 0.75 | 0.77 |
総数 | 10000 | 0.77 | 0.77 | 0.77 |
言う | 話す | ||||||
素性 | 頻度(p値) | 素性 | 頻度(p値) | ||||
素性2:べき(直後) | 131 | 素性13:語 | 35 | ||||
( ) | ( ) | ||||||
素性2:って(直前) | 41 | 素性2:について(直前) | 26 | ||||
( ) | ( ) | ||||||
素性2:通り(直後) | 48 | 素性2:機会(直後) | 20 | ||||
( ) | ( ) | ||||||
素性1:文句 | 26 | 素性13:体験 | 17 | ||||
( ) | ( ) | ||||||
素性2:ものの(直後) | 18 | 素性13:きっかけ | 10 | ||||
( ) | ( ) |
言う | 話す | ||
素性 | 正規化 値 | 素性 | 正規化 値 |
素性2:』(2語前) | 0.85 | 素性1:効果 | 0.83 |
素性1:誇り | 0.80 | 素性2:」(2語前) | 0.82 |
素性1:舞台 | 0.79 | 素性2:について(直前) | 0.81 |
素性1:自ら | 0.75 | 素性1:将来 | 0.80 |
デフォルト素性 | 0.58 | 素性1:当時 | 0.77 |
「言う」は「言うべき」「〜って言う」「言う通り」「言うものの」といった表現がよく使われる.「話す」は「〜語を話す」「〜について話す」「話す機会」のような表現が多い. 「言う」は「文句を言う」など日常的な会話を表す文章に使われやすく,「話す」は「体験」「きっかけ」「将来」のことなどを口にする時に使われる.デフォルト素性は「言う」の方が高いため,「言う」の方が広義の意味で使われやすいとわかる.
また,文献[5]によると以下のように書かれている.
思うことを口にして表現する.「言う」は,思ったことを言葉で表現する意だが,まとまった内容を表現する場合だけではなく,反射的に小さな叫び声を上げるような場合や文章表現などにも用いられ,広い用法をもつ語.「話す」は,相手と会話をするという意もある.
文献[5]と素性分析の結果を比較し同じ結果となったことを以下に示す.「言う」は,広い用法をもつ語,「話す」は「〜語を話す」や「体験を話す」など,相手と会話をするという意もある,という点は同じだった.
文献に載っておらず,素性分析から新たにわかったことを以下に示す.「言うべき」「言う通り」「話す機会」のようによく使われる用法が素性分析から新たにわかった.
文献に載っているが素性分析から得られなかったことを以下に示す.反射的に小さな叫び声を上げるような「言う」の表現は素性分析からはわからなかった.