表7の翻訳例では,入力文と同じ構文を持つ対訳文を利用して翻訳が行われている.しかし,変換テーブル1のおいて,「83#83」と「85#85」の部分に注目すると,「83#83」は所有格であるが,「85#85」は所有格ではない.そのため,対訳文の構文を維持できていない.なお,Mosesの翻訳文は「They made a sweeping revision of the income tax law of this country」となっている.Mosesの出力文では英単語「of」を利用して,「この 国 の」と言う表現を正しく翻訳している.このため,評価はMoses◯となった.この変換テーブル1の作成に利用した情報を表7に示す.
表7の対訳文1では「彼 の 動機:His motives」が主語となっている.しかし,対訳文2では「この 国:This country」が主語となっている.このような構文の違いが「83#83」と「85#85」で品詞が一致しない変換テーブルを作成する原因となっている.
なお,「この 国 の:This country's」を含む対訳文は存在したが,「84#84は85#85」の部分が「この 国 は This country's」という変換テーブルはなかった.変換テーブルの自動作成の際,様々な枝刈りを行なっている.この枝刈りの工程で必要な変換テーブルが削除されてしまった.今後,枝刈りの方法や閾値を見直す必要がある.