しかし,句に基づく統計翻訳との対比較評価において,提案手法○と提案手法×はともに9文であった.よって,句に基づく統計翻訳と提案手法は翻訳精度に差がないことがわかった.
また従来手法との対比較評価より,提案手法×であった3文において誤り解析を行った.誤り解析の結果,対訳文パターンの選択方法や翻訳文の選択方法,翻訳文選択に用いる重みについて再検討が必要であることがわかった. さらに,翻訳精度の向上原因を探るため,翻訳文の生成に用いた対訳句の精度調査を行った.しかし,従来手法と提案手法で対訳句の精度に差は見られなかった.よって,翻訳実験を追加することにより評価文数を増やし,より正確な評価を行う必要があると考える.
本研究は回帰分析の従属変数として質的な値(0または1)を設定したため,ロジスティック回帰分析による分析実験を行った.しかし,従属変数として量的な値を設定することで重回帰分析など他の回帰分析手法による分析実験を行うことができる. また,不適切な対応をとる対訳句が翻訳文に含まれることを抑制するための方法として,対訳句の作成において,不適切な対応をとる対訳句の作成を抑制する方法も考えられる.今後これらを検討し,さらなる翻訳精度向上を目指す.