再現率高とした同義語対は,先に示した例のように, 使い分けが必要なものが多かった. 再現率中の同義語対は,先の例のようにある語が直前または直後にくる場合にどちらか一方のみを使用するものや, 同義語対が広義と狭義の関係にあるものなどが多く含まれていた. 後者の例としては,「宴」と「披露宴」がある. EDR辞書内ではどちらも「宴会」と定義されていたが, 国語辞書を引くと「宴」は広く「宴会」の意味をもち, 「披露宴」には「めでたい事柄を発表するための宴」とあり, 「ひろめの宴」という狭義の宴であることが示されていた. 再現率低の同義語対では,前節で考察したように,再現率高や中に分類されたものに比べて使い分けの必要のない同義語対が確認できた. また,再現率低となった同義語対の中には,ある語とその略語が対となっているものや, 日本語と外来語の対がいくつか含まれていた. 略語と対になっていたものの例としては「省エネ」と「省エネルギー」, 日本語と外来語の対では「謳い文句」と「キャッチフレーズ」があった.