next up previous contents
次へ: おわりに 上へ: 差分に含まれる単語単位での頻度分析 戻る: 結果   目次

考察

4.2より「〜ている」という表現が修正後には大幅に数を減らしていることがわかった.この原因としては,「〜ている」という表現は執筆者が論文を書くにあたって積極性に欠けた他人事のような文を書いている印象を読者に与えてしまうため,修正がなされたと考えられる.実際に抽出した文からは「用いている」といった表現を「用いた」などに書き換えられている場合が多く見受けられた. 2番目の「とし」が修正されているものとして,「結果としては」という表現が「結果は」のように書き換えられている場合が多く見受けられた.これは冗長性による書き換えに該当し,表3.1でも冗長性が多く修正されていることがわかるため,これはあまり論文に用いるにはふさわしくない表現の可能性がある.「〜を行う」も同様に冗長性の問題から「〜する」に修正されている場合が多く存在した.

実際の修正の例文を示す.

[
c]〜ている
  • 修正前:本実験は機械学習を用いて行っている
  • 修正後:本実験は機械学習を使用した

[
c]〜として
  • 修正前;冗長な表現になりやすいものとして考えられる
  • 修正後:冗長な表現になりやすいものであると考えられる

4.3から読み取れた特徴としては「ように」は,文の情報を明確にするために書き足された表現ということがある.実際に「ように」が用いられた例として「読みやすく修正した」という文を「読みやすくなるように修正した」というように書き換えが行われている.「である」という表現は,表4.2の考察の例文にも示している他に,以下のような修正がみられ,論文らしい表現へとするために修正したと考えられる.

実際の修正の例文を示す.

〜ように
  • 修正前:冗長な文は読みにくいため,読みやすく修正する
  • 修正後:冗長な文は読みにくいため,読みやすくなるように修正する


〜である
  • 修正前:不適切可能性が高い
  • 修正後:不適切である可能性が高い

4.4の考察として,「され」という表現は「する」「した」「でき」という表現に修正されている場合が多く見受けられた.これは「〜ている」の考察と同様に,受け身文ということで執筆者自身に積極性が欠ける表現なために修正が多くなされたと考えられる.「行って」は表4.2の「を行う」と同様に冗長性の問題から修正が行われていた. 「を利用」という表現は,「使う」や「用いる」といった表現を書き換えている場合が多く見受けられた.これは論文修正者の指導担当教員の好みの問題と考えられるが,論文として安全な表現への修正とも考えられる.「それを」の修正は,文にあえて「それを」を用いなくても意味は通じるが,直前の文からの情報が欠落してしまうので,不親切な文になってしまう.そのため,文の情報補完,詳細化の点から修正がなされていると考えられる.

実際の修正の例文を示す.
〜され
  • 修正前:提案手法により有用性が確認された
  • 修正後:提案手法により有用性を確認した



〜それを
  • 修正前:データベースに含まれる冗長な文と,修正した文を比較し
  • 修正後:データベースに含まれる冗長な文と,それを修正した文を比較し



平成25年2月19日