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古市らの研究

古市らは,主語を省略している日本語文に対して,主語``私は"を補完し日英統計翻訳を行った.古市らの研究では,主語を省略している文を抽出するために,主語を$ 「$ 名詞$ +$ 助詞``は",``が",``も"$ 」$ と定義した.実験データとして,辞書の例文より抽出した単文データを用いた.なお,デコーダのパラメータチューニングは行っていない. 古市らの研究における実験手順を以下に示す.
手順1
テストデータより,主語を省略している日本語文を抽出する.主語を省略している日本語文の例を表3.7に示す.

表: 主語を省略している日本語文の例
文例1 サッカーをした。
文例2 海へ行く。
文例3 昼食を食べた。

手順2
抽出した日本語文の文頭に,主語として``私は"を補完する.主語の補完の例を表3.8に示す.


表: 主語の補完の例
原文 サッカーをした。
主語を補完した文 私はサッカーをした。
原文 海へ行く。
主語を補完した文 私は海へ行く。
原文 昼食を食べた。
主語を補完した文 私は昼食を食べた。

手順3
手順2で主語を補完した文に対して,統計翻訳を行う.

実験の結果,テストデータにのみ主語の補完を行った場合,人手評価において21文の翻訳精度が向上し,9文の翻訳精度が低下した.また,自動評価では,BLEU値において0.0077の向上を報告し,日英統計翻訳における主語補完の有効性を示した.一方,学習データに主語の補完を行った場合,翻訳精度の低下を報告した.



平成25年2月13日