たとえば,上記で獲得した情緒属性(情緒原因「獲得」,情緒名「喜び」,情緒主「」,情緒対象「鰹」,判断条件「目標実現・近(,鰹)」)と, 追加した対称な情緒属性(情緒名「悲しみ」,情緒主「」,情緒対象「鰹」,判断条件「目標実現・離(,鰹)」)に対し, 判断条件の真偽決定を行う. 判断条件の命題関数の真偽を情緒主と関連事物との関係から決定する. 情緒主と関連事物との関係は「接近・乖離・どちらでもない」から設定されているものとする. 情緒主と関連事物との関係から,と鰹が目標実現に「接近」の関係である場合, 判断条件「目標実現・近(,鰹)」は真であり, 対称な判断条件「目標実現・離(,鰹)」は偽であるので,情緒名《喜び》を出力する.
同様に,類似文「フグを釣った。」を情緒推定する場合を考える. 「フグは役に立たないため、いらないものである」という状況を設定すると,正解情緒は《悲しみ》と予測される. この文には,「鰹を釣った。」と同じパターンがマッチし, 情緒属性(情緒原因「獲得」,情緒名「喜び」,情緒主「」,情緒対象「フグ」,判断条件「目標実現・近(,フグ)」)を獲得し, 対称な情緒属性(情緒名「悲しみ」,情緒主「」,情緒対象「フグ」,判断条件「目標実現・離(,フグ)」)が追加される. この状況設定では,情緒主と関連事物との関係が目標実現に「乖離」の関係であると言える. この場合,判断条件「目標実現・近(,フグ)」)は偽であり, 対称な判断条件「目標実現・離(,フグ)」は真であるので,情緒名《悲しみ》を出力する. こうして対称な情緒属性を追加することで, 状況の対称性を考慮した推定を行うことができる.