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動作確認

基本的な動作の確認を行う. 多義のある用言について,動作の様子を調べる. 本研究の情緒推定方法は,表層構造を参照する方法であるため, 多義のある用言の使用された入力文であっても情緒推定が正しく動作することが望まれる.

比較的多義のある用言「当たる」について動作を確認する. 「当たる」には38種類のパターンがあることから,多義性が高い. 対称な情緒属性を追加しない場合の実行結果を表5.3に, 追加した場合の実行結果を表5.4にまとめる. 表中の「同」は,情緒推定結果に同意できそうか否かを,okとngで表している.


表: 「あたる」を含む文の情緒推定
\scalebox{0.75}[0.75]{
\begin{tabular}{cccccccccccccc}
\hline
\char93  & 入力文 ...
...90-00 & 外的な不快 & 悲しみ & $\phi$\ & 岩 & 不要 & ok \\
\hline
\end{tabular}}



表: 「あたる」を含む文の情緒推定(対称追加)
\scalebox{0.75}[0.75]{
\begin{tabular}{cccccccccccccc}
\hline
\char93  & 入力文 ...
...90-00 & 外的な不快 & 悲しみ & $\phi$\ & 岩 & 不要 & ok \\
\hline
\end{tabular}}


#1の「風にあたった。」については, 気持ちの良い風であったのか,寒い風であったのかを, 判断条件「生理・近($\phi$,風)」,「生理・離($\phi$,風)」で表現しているため,同意できる.

#2の「あみだくじにあたった。」は,表5.3では, 情緒原因「獲得」,情緒名「喜び」,情緒主「$\phi$」,情緒対象「あみだくじ」, 判断条件「目標実現・近($\phi$,あみだくじ)」となった. 一方,表5.4では,対称な情緒属性の追加により, 情緒名「悲しみ」,情緒主「$\phi$」,情緒対象「あみだくじ」, 判断条件「目標実現・離($\phi$,あみだくじ)」が追加された.

たとえば,「景品をもらう人を決めるため、あみだくじを引いた。あみだくじにあたった。」という状況設定では, 判断条件「目標実現・近($\phi$,あみだくじ)」は真であり, 追加した対称な判断条件「目標実現・離($\phi$,あみだくじ)」は偽である. この場合の出力《喜び》は同意できる.

一方,「罰ゲームをする人を決めるため、あみだくじを引いた。あみだくじにあたった。」という状況設定では, 判断条件「目標実現・近($\phi$,あみだくじ)」は偽であり, 追加した対称な判断条件「目標実現・離($\phi$,あみだくじ)」は真である. この場合の出力《悲しみ》は同意できる. このように,対称な情緒属性の追加により,あみだくじにあたることが情緒主に悪影響を及ぼすような状況も考慮される.

同様に,#3,#4については期待した通りの結果である.

以上から,情緒推定が良好に動作することを確認した.



平成25年2月12日