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本研究の目的

本研究の目的は,次の2点である.

対称な情緒属性の追加とは,第2.4節で示した「接近」と「乖離」のどちらの判断条件も必要であるが, 一方の判断条件しか付与されていない用言(結合価パターン)に対し, もう一方の判断条件を追加し,それに基づく情緒名を追加することである. その際,情緒主・情緒対象は既存の情緒属性と同じものを追加する. 情緒原因は,対称の定義が困難であるので追加を行わない.

追加する情緒名の決定は,動詞の種類などを考慮しなければならないため, 用言(結合価パターン)ごとに人手で行うべきである. しかし,手作業で行うにはコストがかかる.

そこで,機械的に行う方法を提案する. まず,判断条件において,「接近」と「乖離」の対を対称と定義する. 次に,それぞれの情緒名に対して,対称な情緒名を定義する. 対称な判断条件を追加した場合, 元々の情緒名に対して,対称な情緒名を追加する. どちらの追加も機械的に行うことで, コストを削減し,本辞書の網羅性を高める.

たとえば,第2.4節と同様に,入力文「子供がピーマンを食べる」を情緒推定する場合を考える. この文には図2.4がマッチする. 図2.4は,図2.3に対称な情緒属性を追加したレコードである. 情緒原因は追加を行わないため,空欄となっている. 追加の情緒属性の「生理・離(子供,ピーマン)」は真であり,《嫌だ》を出力する. 正解情緒である《嫌だ》と一致するため,正解となる. こうして対称な情緒属性を追加することで, $N$1にとって$N$2が生理に不快である状況も考慮できるようになる. このようにして,状況の対称性を考慮した推定を行うことができる.

図: 対称な情緒属性追加した例
\begin{figure}\centering
\fbox{
\begin{tabular}{l}
日本語文型パターン:$N$1が$N$2...
...ぁ表\
セ霆鐚$N$1 情緒対象:$N$2 \\
\end{tabular}}
\end{tabular}}\end{figure}



平成25年2月12日