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情緒生起の特徴フレーム

情緒生起の原因について,徳久・岡田は, 8種類の情緒の生起する原因事態の特徴を約120種類に分類した[11]. 「獲得」や「賞賛」といった端的なラベルを用いてその体系を示しているので, 用言と情緒生起の原因との対応関係を直感的に結びつけやすい. よって,本研究では,徳久・岡田の示した体系に従って,用言に情緒生起の原因を付与する.

徳久・岡田は,「喜び/悲しみ,好ましい/嫌だ,期待,恐れ,怒り,驚き」の8種類を基本情緒とした. それぞれの生起するための原因となる事態の特徴を, 図2.1のような特徴フレームで定義した.

図: 《好ましい》の情緒原因の特徴フレーム
\begin{figure}\centering
\begin{tabular}{l} \hline
(好ましい:自分にとって有利ぎ..
...,賞賛,厚遇,保護)))\\
\qquad その他)\\
\hline
\end{tabular}
\end{figure}

この図は「好ましい」の情緒の生起する原因事態の特徴をフレームで表現したものである. 〈自分にとって有利な状況になった〉という特徴が最も抽象的な特徴(これを「最上位特徴」という)である. この特徴を持つ事態が原因となって《好ましい》の情緒が生起することを示している. また,階層の深いところの特徴は,上位の特徴を継承したより具体的な特徴である. たとえば,〈獲得〉という最下位の特徴(これを「最下位特徴」という)は, 〈目標実現〉の意味を継承しており,どんな物を獲得しても《好ましい》が生起するのではなく, 「目標実現に必要な物事を努力して手に入れた」というときに〈獲得〉による《好ましい》が生起することを示している.

また,〈獲得〉などの特徴名を「特徴ラベル」と呼ぶことにする.



平成25年2月12日