文献[5]では第2.2.1節で述べたそれぞれの情緒に対して,情緒原因の特徴が階層的に定義されている. 階層構造の中では,下位の特徴は上位の特徴を継承しながらより具体的な特徴となっている. 図2.2に《好ましい》の一例を示す.
例えば,《好ましい》が生起する状況として〈自分にとって有利な状況になった〉という特徴がある. これは最も抽象的な特徴であり,最上位特徴という. 最上位特徴の一段下は〈生理的〉と〈心理的〉に分かれる. さらに,〈心理的〉の一段下は〈目標実現〉と〈対人関係〉に分かれる. また,〈目標実現〉は一段下に3つの情緒原因があり,〈対人関係〉は一段下に2つの情緒原因がある. 例えば〈完遂〉の特徴は「努力して計画を実行し,目標を実現した」であるので,上位特徴と比べた場合に,より具体的であることが分かる.