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本手法の方が回答時間が短かった例

実験3では6件中2件で本手法の方が回答時間が短かった. 以下にそれぞれの考察を述べる.

図 5.5: 本手法の方が有効であった例(評価実験3)
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5.5はソ連に対する支援に関しての記事である. この記事に対しての設問は「対ソ連支援の食料を東欧から買い付ける理由は何ですか?」 であった. この記事のタイトルでは 日本がソ連の支援食料を東欧から買い付けるとしている.その理由は 「食料」,「東欧」,また「買い付け」の強調表示が集中する 4段落目に記述されている.これにより,設問の解答は 「アンタル・ハンガリー首相が要望していたもので,政府としては買い付けにより東欧改革を支援できるほか,東欧の穀物輸出攻勢に危機感をもつ欧州共同体(EC)にも貢献 できるため」 となる. これは表4.1に示した分類では「A.ある事柄に関する詳細内容の把握」にあたる.

この設問において,本手法の方が結果がよかった理由としては,設問の回答が上述した強調表示が集中する箇所のみで読み取れる点にあると思われる. 評価実験1では重要単語出現箇所の把握速度向上を確認したが,この記事と設問のように回答に必要な情報を得るための重要単語が一部分に集中して 出現する場合は,回答時間の短縮に繋がると思われる.そして,「買い付け」という重要単語は本文中では4段落目にしか出現しておらず, 「東欧」の強調表示が2度出現するのも4段落目のみである. また,設問の問題文に「買い付け」,また「東欧」という重要単語が入っていることも,この設問において本手法の結果がよかったことに,つながっていると 思われる.これは重要単語の定義を「設問の問題文の形態素解析結果のうち,結果が名詞(数字は除く),または未知語のもの」と変更しても同様の結果が 得られる.つまり,取得したい情報に関する形態素を重要単語としても,有効であるとの仮説が立てられる.

5.6の記事は外務省改革に関する記事である.設問の問題文は「総合政策局はどのような役割を担いますか?」とした. 解答は「タテ割りの政策担当部門を束ね,総合的・中長期的視点から政策の企画立案と調整を行う」 となる. この設問において,本手法の結果の方がよかった理由としては,重要単語であり,設問の中にも出現する「総合政策局」が 1段落目を除いて解答のある3段落目にしか出現しておらず,これも重要単語の把握速度向上が設問の回答に役立っている と思われる.

図 5.6: 本手法の方が有効であった例2(評価実験3)
\includegraphics[width=16cm,clip]{k100.eps}



root 平成23年3月23日