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直接受身

「直接受身」は,動作を受ける対象の立場にたって,その動作を受けることを表 す.基本は「$N$が」が人や動物など有情の主体をとる場合を基本とし,5つの変形 パターンがある.

a :
$AがBをVする$$BがAにVされる$
猫が魚を食べる→魚が猫に食べられる

動詞の対象が「$B$を」で示されるような動詞での受身である. 受身形での動作の主体は通常「$A$に」で表される.

b :
$AがBにVする→BがAにVされる$
犬が私にかみつく→私が犬にかみつかれる

aにおける「$B$を」が「$B$に」となっている場合について,動詞は 通常,自動詞とされるが,直接的な対象を取るものはそのまま直接 の受身となる.

c :
$AがBにCをVする→BがAにCをVされる$
友達が私に仕事を頼む→私が友達に仕事を頼まれる

補語が「に・を」の型で,対象の「$B$に」が受身文において「$B$が」と なる.このパターンでは受身での「$A$に」の代わりとして,「$A$ から」も用いることができる.能動文の「$B$に」が「到達点」のよう な意味合いを持っており,$B$に対する「出発点」としての「$A$か ら」となる.

d :
$AがBにCをVする→CがAからBにVされる$
太郎が皆に花子を紹介する→花子が太郎から皆に紹介される.

能動文における「$BにCを$」の「$Cを$」が,受身文の「$Cが$」に変 化するものである.「$Bに$」が変化しないため,「$A$が」が分か りにくくなるのを避 け,「$A$に」ではなく「$A$から」になる.口語表現では「$A$か ら」「$A$に」が省略されることが多い.

e :
$AがBをCとVする→BがAにCとVされる$
太郎が花子の行為を悪影響と見なす→花子の行為が太郎 に悪影響とみなされる.

能動文の「$BをCと$」の補語をとる動詞となっているものである.また, $B$が省略される場合もある
例) 太郎が花子と絶交する→花子が太郎に絶交される



平成22年2月11日