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間接受身

「間接受身」は元の文には,受身文の「$N$が」が直接出ていないものとされてい る.何らかの被害・影響を受ける立場にある.そして,この受身文の 特徴は、必ず「迷惑」を受けることを表す.以下に例を示す.

  1. 子どもたちは、学校の帰りに雨に降られた。(雨が降る)
    彼女は若くして夫に死なれた。(夫が死ぬ)

  2. 弟にケーキを全部食べられてしまった。(弟がケーキを食べた)
    バスで隣の人に窓を開けられ,髪がばさばさになる。(隣の人が窓を開ける)

1の例は自動詞の受身で,英語では存在しない日本語特有の間接受身に含まれる.

2の例は他動詞の受身で,迷惑の受身となるものである. 間接受身は他動詞でも成り立つ.「ケーキを食べられた」の例では,「ケーキ」 は「食べる」の直接の対象となるが,「ケーキを食べる」という行為は,「他者 に対する行為とは言えず,間接受身に分類されるものとしている. 間接受身の最大の特徴として,能動文の「$N$が」は「$N$に」に必ず変化し,それ以 外の形をとらない.

ここで,寺村の考察による態の対応と,これを受けた庭の能動文と受動文の規則 的な対応を表2.1にまとめる.表中の「$A$$B$$C$」は格要素の名詞変 数,「$V$」は述語となる動詞変数,「$.reru$」は受動表現の接辞を意味している.

本研究では,能動文に相当する記述を条件パターンとし,受動文に相当する記述を 帰結パターンとする.変換規則は1つの条件パターンと1つの帰結パターンの組で ある.能動文に条件パターンが適合するとき,帰結パターンを用いて受動文を 作ることができる.さらに結合価パターンに条件パターンが適合するとき,文の 場合と同様に受動態のパターンが作成できると考えられる.


表 2.1: 変換規則集
# 条件パターン 帰結パターン 典拠
1 $A$$V$ $A$$V.reru$ 寺村,庭
2 $Aが Bと V$ $Aに Bが V.reru$ 寺村,庭
3 $Aが Bに Cを V$ $Aに/から Bが/に Cを/が V.reru$ 寺村,庭
4 $Aが Bを Cに V$ $Aに/から Bを/が Cが/に V.reru$ 寺村,庭
5 $Aが Bに V$ $Aに Bが V.reru$ 寺村,庭
6 $Aが Bの Cを V$ $Aに Bが Cを V.reru$ 寺村,庭
7 $Aが Bを Cと V$ $Aに Bが Cと V.reru$ 寺村,庭
8 $Aが Bを V$ $Aに Bが/を V.reru$ 寺村,庭
9 $Aが Bを Cから V$ $Aに Bが/を Cから V.reru$ 寺村



平成22年2月11日