1の例は自動詞の受身で,英語では存在しない日本語特有の間接受身に含まれる.
2の例は他動詞の受身で,迷惑の受身となるものである.
間接受身は他動詞でも成り立つ.「ケーキを食べられた」の例では,「ケーキ」
は「食べる」の直接の対象となるが,「ケーキを食べる」という行為は,「他者
に対する行為とは言えず,間接受身に分類されるものとしている.
間接受身の最大の特徴として,能動文の「が」は「に」に必ず変化し,それ以
外の形をとらない.
ここで,寺村の考察による態の対応と,これを受けた庭の能動文と受動文の規則 的な対応を表2.1にまとめる.表中の「,,」は格要素の名詞変 数,「」は述語となる動詞変数,「」は受動表現の接辞を意味している.
本研究では,能動文に相当する記述を条件パターンとし,受動文に相当する記述を 帰結パターンとする.変換規則は1つの条件パターンと1つの帰結パターンの組で ある.能動文に条件パターンが適合するとき,帰結パターンを用いて受動文を 作ることができる.さらに結合価パターンに条件パターンが適合するとき,文の 場合と同様に受動態のパターンが作成できると考えられる.