そこで本研究では,まず日英文パターン辞書を用いて日英パターン翻訳を行い, 文法構造を英語に近づける.この日英文パターンが持つ大局的な文法情報を用い ることでN-gramモデルにおける局所的な構文問題が解消でき,翻訳精度の 向上が可能であると考えた.そして出力文に対し,統計翻訳でさらに英英翻 訳を行う.この処理により,局所的な修正を行うことで翻訳精度が向上すると考 えた.実験の結果,従来の日英統計翻訳システムと比べて提案手法のシステムで は,文パターンの文法情報が多く残されている場合に翻訳精度が高く,有効性が 確認出来た.この場合での自動評価結果はBLEU値で0.5%,METEOR値では0.08%, NIST値で0.116の翻訳精度の向上が見られた.しかし文パターンの文法情報 が損なわれている場合には翻訳精度が低下することがわかった.この場合での自 動評価結果はBLEU値で0.4%,NIST値で0.095の翻訳精度の低下が見られた.
本論文の構成は以下の通りである.第2章で従来の日英パターン翻訳 システムについて説明し,第3章で従来の日英統計翻訳システムにつ いて説明し,第4章では本研究で提案する翻訳システムについて 説明する.第5章で実験環境を示し,第6章で翻訳実験を述 べ,第7章で実験結果を示し,第8章で本研究の考察を述べ る.