接続表現の定義をこのように定めた背景として,二つの理由がある.
第一に,接続表現と副詞の区別を行う必要があったからである.節間に副詞を用
いた文を示す.
一年間猛勉強をし,ついに私は第一志望の大学に合格した.
接続表現と副詞はともに節間に配置できる表現である.しかし,副詞は他の形容
詞,節,句などを修飾するという機能を有する品詞であり,そのため,従属節,
主節のどちらか一方に性質が偏る傾向があると考えられる.ゆえに情緒推定に利
用できる可能性は大いにあるが,本研究ではあくまで従属節,主節のつなぎ表現
を接続表現として考えているため副詞は対象としない.なお,副詞に着目した情
緒に関連する研究として佐伯の研究がある[3].
第二に,文頭に用いられる接続詞を除外するためである.たとえば「しかし」は
接続詞であるが
学校に行った.しかし今日は休みだった.
のようにもっぱら文頭に用いられ,文中では用いられない.本研究では文脈を考
慮せず,一文のみによる情緒推定を行うため,文頭にのみ使用される接続
詞は対象としない.