接続表現における属性(i)の判断は表4.3の「変換性」の項目によって行う. 5文のうち4文以上で「反転」,「保持」である場合,それを代表的な属性値とする. 「反転」,「保持」がともに3文以下である場合は「不問」を代表的な属性値と する.接続表現「かわりに」の場合,表4.3の「変換性」の項目において, 「反転」が4件,「保持」が0件,「不問」が1件付与されている.「反転」が5文 中4文以上に付与されているので,接続表現「かわりに」は「反転」の属性を有 しているといえる.
接続表現における属性(ii)の判断は表4.3の「従属節情緒」,「主節情 緒」の項目によって行う.各文に対しては9分類系による付与を行ったが,属性 (ii)の判断は3分類系で行う.5文のうち4文以上の事例で,従属節または主節の 情緒の正負が同一であれば「特定」を属性値とする.同一でなければ「不特定」 を属性値とする.接続表現「にしては」の場合,表4.3の「従属節情緒」 の項目に注目すると正の情緒が1件,負の情緒が4件,情緒なしが0件,付与され ている.また,「主節情緒」の項目に注目すると正の情緒が4件,負の情緒が0件, 情緒なしが1件,付与されている.「従属節情緒」では負の情緒が,「主節情緒」 では正の情緒が4文以上で同一であるので接続表現「にしては」は特定の情緒と 共起する接続表現である,すなわち「特定」の接続表現であるといえる.
以上の手順により,辞典[4]より抽出した接続表現を「特定・反転」, 「特定・保持」,「特定・不問」,「不特定・反転」,「不特定・保持」,「不 特定・不問」のいずれかに分類する.なお,接続表現「かわりに」は「反転・特 定」に分類できる.