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パターン翻訳システムITM

ITMは,文型パターン辞書を用いる日英パターン翻訳システムである.パター ン検索システムSPMの照合結果と英語文型パターンを用いて翻訳を行う. 動作の順序は,まず,SPMで適合した日本語文型パターンに対応する英語文型パター ンを用いて,非線形要素を決定する.そして,線形要素の変数を翻訳して,複数 の翻訳候補を導き,尤度を用いて訳語を決定し,訳出する.以下に例を示す.


 入力日文 ここできみに会おうとは夢にも思わなかった。
 日本語パターン /y#1[/cfADV2]/tckN3に/cf(会お$ \vert$ あお$ \vert$ 逢お$ \vert$ 會お)うとは$ <$ /yN4は$ >$ /cf夢にも/fV5.hitei.kako。
 英語パターン $ <$ I$ \vert$ N4$ >$ never V5^past to run into N3 #1[ADV2].
 訳出英文 I never thought to run into you here.


まず,入力日文「ここできみに会おうとは夢にも思わなかった。」は,日本語 パターン「/y#1[/cfADV2]/tckN3に/cf(会お$ \vert$ あお$ \vert$ 逢 お$ \vert$ 會お)うとは$ <$ /yN4は$ >$ /cf夢にも/fV5.hitei.kak o。」に適合する.「〜に会おうとは夢にも〜」が非線形要素, 「ADV3」,「N3」,「N4」,「V5」が 線形要素である.次に,適合した日本語パターンと対に用意されている英語パ ターン「 $ <$ I$ \vert$ N4$ >$ never V5^past to run into N3 #1[ADV2].」を使用する.英語パターン の「〜 never 〜 to run into 〜」が非線形要素,「N4」, 「V5」,「N3」,「ADV2」が線形要素である. まず,訳出文において,非線形要素「〜 never 〜 to run into 〜」が決定さ れる.次に線形要素「N4」,「V5」,「N3」, 「ADV2」に対応する日本語を翻訳し,代入する.この時,線形要素 は複数の翻訳候補を用意し,尤度の高い組合せを選択する.なお, 「$ <$ I$ \vert$ N4$ >$ 」は,変数に適合する形態素があれば変数を使用し, なければ字面を使用する関数である.本例では適合しないので字面「I」が使 用される.結果,訳出文は「I never thought to run into you here.」とな る.



平成20年6月20日