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考察

5.2.3節では,「偽物を貰う」という解析対象文に対して,情緒推定結果として 「なし」を出力した.しかし,情緒推定結果として《怒り》や《悲しみ》を出力 しても良いと考えられる.また,「小包爆弾を貰う」という解析対象文があった場合には, 現状では情緒推定結果として《喜び》あるいは「なし」のいずれかが出力される が,《恐れ》が出力されても良いはずである. このように,名詞に「当然の事柄」をやぶる物が入る 場合にも情緒を推定できるように,結合価パターン辞書へ情緒原因及び,情緒名 を追加する必要がある.

また,解析対象文の前後に存在する「手段」を表す表現によって,情緒が変化す る可能性もある.例えば,「業績を捏造することで給与を会社から貰う」という解析 対象文があった場合に,現状では「給与を貰う」という表現から《喜び》を出力 する.しかし,「業績を捏造することで」という手段を表す表現を考慮すると, 情緒主が後ろめたさを感じているかもしれないので,情緒「なし」を出力しても良い.あるいは,悪事 がばれるかもしれない,という状況から《恐れ》を出力しても良い. 今後は情緒推定をする上で,上述した「手段」を表す表現についても注目してい く必要がある.



平成20年3月21日