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おわりに

言語表現から書き手や話者,登場人物の情緒を推 定する技術のうち,情緒原因に着目した手法が先行研究[4]で試みられている. 先行研究[4]では文脈情報を利用した情緒推定が行われたが,本研究では 文脈情報でなく,一般知識を利用した情緒推定の実現可能性を検証した.その ために,判断条件を結合価パターンに付与し,判断情報知識ベースの有効性を示 した.

情緒属性が付与された11,723件のセットに対して7種 類の判断条件を設計し付与を試みた結果,11362件のセットに対して判断条件を 付与することができた.これより7種類の判断条件を用いて,情緒属性の付与さ れた全セットの96.9%をカバーできることが分かった.

判断情報知識ベースについては,小規模ではあるが,Webデータより具体的な格 要素を当てはめた判断条件ごとに情緒の成立及び, 不成立の件数を調べることができた.その結果,$T$あるいは$F$に偏る傾向を確 認できたので,判断情報知識ベースが有効に活用できる可能性を示す ことができた.

以上から,判断条件と判断情報知識ベースを用いることで,一般知識を利用した 情緒推定が行えることを確認できた. 今後の課題は,誤り分析をもとにした結合価パターン辞書 の修正及び,大規模な判断情報知識ベースの構築と評価実験である.



平成20年3月21日