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概要

高品質な翻訳の実現を目指して,大規模な文型パターン辞書を用いた翻訳方 式の研究が行われている[1].日英翻訳では,すでに大規模の網羅的な結合 価パターン辞書[2]が開発され,機械翻訳において,結合価パターン方式が大変有効であることが報告されている.しかし,結合価 パターン方式は日英翻訳の研究が多く,その他の言語族についての検討がまだない.

そこで,本研究では,日中翻訳を対象に想定して,日中翻訳における結合価パターン方式の有効性を評価 するため,結合価パターン辞書を部分的に作成し,作成した結合価パターンを用 いて,翻訳実験を行う.また,翻訳実験の結果により,結合価パターン翻訳方式 の効果を評価する.

具体的には,結合価パターンによる方式は,語義数の多い用言の訳し分けにおいて特に 効果が期待される方式である.通常,語義数の多い用言は,使用頻度も高いと 考えられるので,本研究では,使用頻度の高い日本語結合価パターンを対象に日中結合価パター ン辞書を作成し,さらに,日中結合価パターンを用いて翻訳能力を検討する.

翻訳試験の結果により,翻訳文の全体には,評価値Aが80(160/200) %,評価値B が7.5(15/200)%を得られた.翻訳実験を通して,日中翻訳における結合価パターン翻訳方式は大変有効な方法が分かった.



検討の結果では,作成した中国語結合価パターンは,日英翻訳のための日本語結合価パターンを利 用した.そのために,一つの日本語結合価パターンに対して,複数の中国語結 合価パターンが対応する場合がある.この原因で,一つの中国語結合価パターン に定義出来ず,翻訳全体の精度は,約15%(30/200)悪くなった. 問題を解消するために, 今後の課題として,日本語語彙大系の「意味属性体系」を細かく,及び,追加す る必要性があると考えている.



また,日中結合価パターン辞書を完成して,機械翻訳に応用すれば,日中機械翻訳の全体も,高い翻訳品質 を得られると考えている.



平成18年4月11日