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意味属性距離の問題点

意味属性距離は日本語語彙大系[7]に記載されている「一般名詞意味属性大 系」と「用言意味属性大系」を用いる. 一般名詞意味属性大系は約40万語の名詞 を, 最大12段の木構造で2710の意味属性大系に分類している. また用言意味属性 大系は約6000語の用言を, 最大4段の木構造で36の意味属性に分類している. 一 般名詞意味属性大系, 用言意味属大系ともに, 木構造を基本構造とし, 各ノード において上位の意味属性の性質を下位の意味属性が継承する.

本研究では意味属性距離の逆数をパラメータとして用いる. 距離は単純に各ノー ド間を1として計算する. 以下の図7のような場合について考察する.

図 6: 意味属性距離


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1つ目の例として図中の#4から#0の距離3, #4から#5の距離2を選ぶと距離の 差は1である. また2つ目として#4から#1の距離2, #4から#0の距離3を選ぶと, これも 距離の差は1となる. 本研究では2つの例を等しい距離の差として計算に用いる.

1つ目の例では, あるノードから出る枝は右と左の両方を通っている. 一方二つ 目の例では全て左の枝を選んでいる. 同方向に枝が伸びている「状態」と「存 在」の距離が2となり, 左, 右と枝が伸びている「存在」と「所有」も同じく距 離が2となるが, 意味として「存在」と「所有」の方が遠い距離であるように感 じる. この例のように, あるノードから一方方向に伸びる枝と, 左右に広がって いく枝がある場合, 距離の間隔に差をつけることで, より効果的なパラメータとして作 用する可能性が考えられる. 枝の伸びる方向に よって, 条件を付ける等の調整が必要であるかどうかの検討が今後の課題である.



平成18年3月20日