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削除した下位パターンの日本語原文と,その上位対訳パターンを用いて,翻訳を行った.
翻訳結果より下位パターンを上位パターンで置換可能かの検討を行う.
調査対象として,出現頻度が「1,000文以上」と「2文以上10文未満」の上位日本語パターンから,
それぞれランダムに10件ずつ抽出した.
また,抽出した上位日本語パターンそれぞれに対応する下位日本語パターンをランダムに1件選択し,
その日本語原文を用いた.
上位日本語パターンと下位日本語パターンの原文との間の照合には,文型パターンパーサを用いた.
照合結果と上位英語パターンを用いて,人手による翻訳を行った.
訳語選択は最も適切と考えられるものを選択した.
調査結果を表5に示す.
表 5:
翻訳調査の結果
出現頻度 |
翻訳成功 |
翻訳失敗 |
1,000文以上 |
5 |
5 |
2文以上10文未満 |
10 |
0 |
また,翻訳例を以下に示す.
- 翻訳例1
- 上位パターン(出現頻度:5)
-
-
- 日本語パターン:
-
/ytk N 1 が /cf AJ 2 ば /tk N 3 は /cf AJ 4 。
- 日本語原文:
- 財布が重ければ心は軽い。
- 英語パターン:
- AJ 2 N 1 make AJ 4 N 3.
- 英語原文:
- A heavy purse makes a light heart.
- 下位パターン
-
-
- 日本語パターン:
- /ytk N 1 が /cf
(無けれ|なけれ) ば /tk 粉は /cf ない。
- 日本語原文:
- ひき臼がなければ粉はない。
- 英語パターン:
- No N 1, no meal.
- 英語原文:
- No mill, no meal.
上位対訳パターンと,下位の日本語原文を用いた翻訳の結果,次の英文が得られた.
No mill makes no meal.
この英文は,翻訳に成功している.
- 翻訳例2
- 上位パターン(出現頻度:5463)
-
-
- 日本語パターン:
- /y </tk N 1 は> /tcfk N 2 を /cf V 3 (て| で) /cf (V 4.kako| ND 4 をした) 。
- 日本語原文:
- 城を取り巻いて攻撃した。
- 英語パターン:
-
(N 1|I) V 3.past N 2 and (V 4|V(ND 4)).past.
- 英語原文:
-
They surrounded the castle and attacked.
- 下位パターン
-
-
- 日本語パターン:
- /y </tk N 1 は> /tcfk N 2 を /cf 連れて /cf V 3.kako 。
- 日本語原文:
- 女を連れて逃げた。
- 英語パターン:
- N 1 V 3.past with N 2.
- 英語原文:
- He ran away with a girl.
この例では,次の英文が得られた.
I took a girl and ran away.
この英文は,翻訳に成功している.
- 翻訳例3
- 上位パターン(出現頻度:1895)
-
-
- 日本語パターン:
-
/y </tk N 1 は> /tcfk N 2 を /cf V 3 (て|で) </tk N 4 は> /tcfk N 5 を /cf V 6.kako。
- 日本語原文:
- 一心を傾注して目的を遂げた。
- 英語パターン:
-
<N 4|I> V 6.past <N 4.pron.poss|my> N 5 by V 3.ing <N 1.poss|my> N 2 to N 5.pron.
- 英語原文:
- I accomplished my purpose by devoting my whole mind to it.
- 下位パターン
-
-
- 日本語パターン:
- /y $1^{/tk N 1 は} /tcfk 顔を /cf しかめて $1 /tk 私を /cf 見た。
- 日本語原文:
- 彼は顔をしかめて私を見た。
- 英語パターン:
- N 1 frowned at me.
- 英語原文:
- He frowned at me.
この例では,次の英文が得られた.
I looked my I by frowning his face to me.
この英文は,重要な情報が間違って訳されている.
表5より,
上位パターンの出現頻度が小さい場合は,下位パターンの削除を行っても,意味的に正しい翻訳が行える可能性が高いと考えられる.
しかし,出現頻度が大きい場合には,下位パターンを削除することで意味的に正しい翻訳が行えなく事例が多く存在することが分かる.
今後,より多くの事例について,調査を行う必要があると考えられる.
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平成18年5月1日