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目次
本研究では,実験対象として,理想解の英語句の構成単語数が2単語から14単
語のものを対象とした.つまり,1単語は対象外である.文型パターンから日
英の対訳の見出された約7万件の動詞句のうち,1単語で構成されるものは4374
件あった.1単語を対象外とした理由は,1単語は句ではなく単語であるためで
ある.しかし,テストデータとして,1単語からなるもの20件を用いて実験を
行った.それについて報告する.20件での翻訳実験の結果を表に
示す.
表:
理想解の構成単語が1の時の実験結果
評価の付与数 |
◎ |
○ |
△ |
× |
− |
0 |
7 |
9 |
3 |
1 |
いずれの結果についても,出力結果が1単語で構成されるものはなかっ
た.20件について,気づいたことを以下に示す.
入力動詞句について,「一つの格要素+動詞」または「副詞+動詞」のいずれ
かであった.この3つについて,具体的に述べる.
- 「一つの格要素+動詞」の場合(15件)
適合したパターンの名詞変数と格要素が適合している場合は,うまく
翻訳できていた.例を以下に示す.
例)
入力動詞句:手紙を書く。
理想解:write
適合パターン(日;英):(3主体)が (*)を
(1109文書 1064言葉)に/で 書く。; write in
出力結果:@write letter
代入値:=手紙→letter
入力動詞句において,一つの格要素となっている「手紙を」とパター
ンのが適合している.不要な補語「in 」を削除して,出力は
意味の通る結果となっている.
一つの格要素がパターンにおいて慣用表現になっており,パター
ン内にある名詞変数が全て残ってしまう場合は,うまく翻訳できてい
ない.例を以下に示す.
例)
入力動詞句:鼻を鳴らす。
理想解:grunt
適合パターン(日;英):(4人 535動物)が (4
人 535動物)に 鼻を 鳴らす。; whine to
出力結果:@whine to (N2)
入力動詞句の全てが,パターンの慣用表現に適合している.よって,
パターンに含まれる名詞変数に適合する日本語がない.名詞変数が目
的語か補語か判断できないため,削除することもできないため,その
まま変数が字面で残ってしまう.
- 「副詞+動詞」の場合(5件)
日本語表現が「副詞+動詞」で表すものは,副詞の部分が訳出されな
い.例を以下に示す.
例)
入力動詞句:ガタガタと震える。
理想解:shudder
適合パターン(日;英):(4人 535動物)は
(552動物(部分)が (声)から/より/で 震える。;'s
tremble with/from
出力結果:@tremble with/from ()
結合価パターンは,用言と格要素の意味的関係を記述したものである
ため,入力動詞句に副詞が含まれても,その情報が翻訳されることは
ない.
平成17年4月14日