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生起要因

情緒の生起要因は「生理,欲求,情緒,目標,プラン,予測,評価,記憶,認識, 行動,言語」の11種類の心的状態の組合せで表される[徳久 01].対話過程 から生起要因を抽出することで情緒を推定する.各心的状態の定義を表 [*]に示す.


表: 心的状態の定義([吉村 03]より引用)
状態 定義
生理 疲労,空腹などの身体部位の状態
欲求 休憩,食欲など生理状態に対応し,その改善を望むこと
情緒 心理的,身体的変化をもたらす比較的急激な心理変化や状態
目標 欲求,情緒の状態に対し,具体的に目指す状態または行為
プラン 行為の系列
予測 プランの実行に関して想像した心理的,物理的な事態
評価 予測した事態に対する主観的な判定
記憶 過去に認識した心理的,物理的な事態
認識 現在まさに知覚している心理的,物理的な事態
行動 現在まさに実行している行為
言語 言語表現,発話行為,発話対など

心的状態の活性連鎖
心的状態同士は各々特有の関連性をもっている. この関連性に基づいて対話から推定された一つ,あるいは複数の心的状態から, 連鎖的に心的状態が生起する.
例:

・「発話行為(一緒に帰ろう.)」→「要求プラン(一緒に帰る)」

→「プラン(一緒に帰る)」→「目標(家に帰る)」

・「生理(頭痛)」→「欲求(回復)」→「目標(休憩)」→「プラン(休む)」

→「予測(頭痛が直る)」→「評価(可能性)」

・「記憶(パーティは楽しかった)」→「評価(嗜好性)」

・「記憶(頑張った)」→「予測(褒められる)」

・「認識(明日はテスト)」→「プラン(勉強)」

・「認識(空が曇っている)」→「予測(雨が降る)」→「目標(早く帰る)」

・「認識(冷たい)」→「生理(頭痛)」

・「認識(現在は朝)」→「評価(時間性)」

・「要求プラン(木に登ろう)」→「目標(木登り)」

・「行動(出かける準備)」→「プラン(出かける)」

・「行動(食事)」→「認識(おいしい)」→「目標(全部食べる)」



平成16年4月17日