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各絞り込み条件で消えた例

実験(絞り込み条件:文法情報)で評価AおよびBと評価された文型パターンが, 絞り 込み条件によって消える問題がある. 例を以下に示す.

<IK第1分類の絞り込みで消えた例>

IK第1分類の絞り込みで消えた例1における, 入力文の動詞「隠れる」用言意味属性は「現象事象の表現」であり, 「吸う」 の用言意味属性は「日常生活の行為」である. また, 日本語パターンにおける $V3$の用言意味属性は「日常生活の行為, 対物的行為」であり, $V5$の用言意味 属性は「知覚と情緒の表現」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の 用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.

同様に, IK第1分類の絞り込みで消えた例2における, 入力文の動詞「なる」用言 意味属性は「現象事象の表現, 変化の現象事象の表現」であり, 「住む」 の用言意味属性は「日常生活の行為」である. また, 日本語パターンにおける $V6$の用言意味属性は「社会的活動の行為」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.

同様に, IK第1分類の絞り込みで消えた例3における, 入力文の動詞「あやす」と 動詞「笑わせる」用言 意味属性は「知覚と情緒の表現」である. また, 日本語パターンにおける $V3$の用言意味属性は「日常生活の行為」であり, $V4$の用言意味属性は「地域 社会生活の行為, 移動行為の表現」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.

<IK第2分類の絞り込みで消えた例>

IK第2分類の絞り込みで消えた例1における, 入力文の動詞「頼る」の用言意味属 性は「対人的な行為」であり, 動詞「上京する」用言意味属性は「上下の移動」である. また, 日本語パターンにおける $V5$の用言意味属性は「知覚感覚, 家庭生活の行為, 規則契約」であり, $V6$の 用言意味属性は「発生消滅, 行き来の移動」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.

同様に, IK第2分類の絞り込みで消えた例2における, 入力文の動詞「あやす」及 び「笑わせる」の 用言意味属性は「対人的感性」である. また, 日本語パターンにおける $V3$の用言意味属性は「知覚感覚, 出入りの移動, 対象依存の行為」であり, $V4$の用言意味属性は「対人的感性, 身体的動作, 対人的な行為」である. 入力 文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 「笑わせる」 と$V4$で意味属性が一致しているが, 「あやす」と$V3$の意味属性が一致してい ない.

同様に, IK第2分類の絞り込みで消えた例3における, 入力文の動詞「振り捨て る」の用言意味属性は「創造破壊の行為」であり, 動詞「走る」用言意味属性は 「身体的動作, 移動行為の表現, 遠近移動の事象」である. また, 日本語パターンにおける $V3$の用言意味属性は「個人的感情, 身体的動作, 単一的物体への行為」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.

<IK第3分類の絞り込みで消えた例>

IK第3分類の絞り込みで消えた例1における, 入力文の動詞「合わせる」の用言意味属 性は「研究調査, 結成拡散, 拡散集合, 適合不適合, 均衡過不足, 液体」であり, 動詞「作る」用言意味属性は「創作活動, 生死生育, 農林業漁業, 製造業, 発生」である. また, 日本語パターンにおける $V3$の用言意味属性は「対象依存の行為」であり, $V5$の用言意味属性は「消滅, 光, 火」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.

同様に, $IY$第3分類の絞り込みで消えた例2における, 入力文の動詞「果たす」の 用言意味属性は「願望努力忍耐, 研究調査, 順序と時間」である. また, 日本語パターンにおける $V3$の用言意味属性は「まとめと発表, 身体的動作, 生活一般, 個人的な行為, 所有保存, 通知報道, 編集出版興業, 相互関係, 受領的移動, 物体表面, 紙上物 体, 分離破壊」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.

同様に, IK第3分類の絞り込みで消えた例3における, 入力文の動詞「代わる」の 用言意味属性は「交換的移動」であり, 動詞「作成する」用言意味属性は「研究 調査, 製造業, 発生, 要不要成立不成立」である. また, 日本語パターンにおける $V3$の用言意味属性は「分類評価」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.

<IK第4分類の絞り込みで消えた例>

IK第4分類の絞り込みで消えた例における, 入力文の動詞「果たす」の用言意味 属性は「努力忍耐, 実施実行, 順序と時間」である. また, 日本語パターンにおける $V4$の用言意味属性は「奮起執着, 約束交渉」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.

最も制約が緩いIK第1分類を用いた文型パターンの絞り込みにおいて, AおよびB と評価された文型パターンが60パターン削除された. 削除された文型パターンと 入力文を調べたところ, 入力文と文型パターンの対応する動詞の意味が近いもの は存在しなかった. よって, 用言意味属性の意味分類を再構成しても, 入力文に 適合する文型パターンが増える可能性は低いと考えられる.


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平成18年3月24日