次へ: おわりに
上へ: 考察
戻る: 意味属性の付与誤り
目次
実験(絞り込み条件:文法情報)で評価AおよびBと評価された文型パターンが, 絞り
込み条件によって消える問題がある. 例を以下に示す.
<IK第1分類の絞り込みで消えた例>
<
IK第1分類の絞り込みで消えた例1>
(入力文)
親に隠れ(:5320,:5950)て煙草を吸っ(:2100,:2220,2233)た。
(日本語原文)
ポーチに座って風景を楽しんだ。
(英語原文)
We sat on the porch and enjoyed the scenery.
(日本語パターン)
-00: /y </tk は> /tcfk に /cf (:2140,:2310,:8411)(て|で) /ytck を /cf (:0200,:0211).kako。
(英語パターン)
-00: <We| > .past on and .past .
(出力英文(評価))
I hid from the parents and somoked a cigarette. (B)
IK第1分類の絞り込みで消えた例1における, 入力文の動詞「隠れる」用言意味属性は「現象事象の表現」であり, 「吸う」
の用言意味属性は「日常生活の行為」である. また, 日本語パターンにおける
の用言意味属性は「日常生活の行為, 対物的行為」であり, の用言意味
属性は「知覚と情緒の表現」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の
用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.
<
IK第1分類の絞り込みで消えた例2>
(入力文)
彼は10歳になる(:5310,:6000)までそこに住ん(:2231)でいた。
(日本語原文)
私の祖父は70歳になるまで農業に従事していた。
(英語原文)
My grandfather pursued the industry of farming until the age of seventy.
(日本語パターン)
-00: /y $1^{/tcfk #1[の] /k は} /tcfk に /cf なる(まで|迄) $1 /yc に $1 /cf ((:4630).teiru.kako| をしていた)。
(英語パターン)
-00:#1[^poss] V(| ).past until .
(出力英文(評価))
I lived there until ten. (A)
同様に, IK第1分類の絞り込みで消えた例2における, 入力文の動詞「なる」用言
意味属性は「現象事象の表現, 変化の現象事象の表現」であり, 「住む」
の用言意味属性は「日常生活の行為」である. また, 日本語パターンにおける
の用言意味属性は「社会的活動の行為」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.
<
IK第1分類の絞り込みで消えた例3>
(入力文)
母は赤ん坊をあやし(:0351)て笑わせ(:0342)た。
(日本語原文)
泥棒は靴を脱ぎ捨てて逃げた。
(英語原文)
The thief flung off his shoes and fled.
(日本語パターン)
-00: /y $1^{/tcfk は} /tcfk を $1 /cf (Y:2235)(て|で) $1 /ycf (:3420,:7520).kako。
(英語パターン)
-00: .past ^pron^poss
and .past.
(出力英文(評価))
Mother played her baby and laugh. (B)
同様に, IK第1分類の絞り込みで消えた例3における, 入力文の動詞「あやす」と
動詞「笑わせる」用言
意味属性は「知覚と情緒の表現」である. また, 日本語パターンにおける
の用言意味属性は「日常生活の行為」であり, の用言意味属性は「地域
社会生活の行為, 移動行為の表現」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.
<IK第2分類の絞り込みで消えた例>
<
IK第2分類の絞り込みで消えた例1>
(入力文)
私は彼を頼っ(:2440)て上京し(:7210)た。
(日本語原文)
彼はまっさらなスーツを着て来た。
(英語原文)
He came wearing a shiny new suit.
(日本語パターン)
-00: /ytcfk は#1[/cf ^rentai] /f を /cf (:0120,:2235,
:4320,:8312)(て|で) /ycf (:5310,:7420).kako。
(英語パターン)
-00: .past AJ() #1[shiny ] .
(出力英文(評価))
I came to Tokyo count on he. (B)
IK第2分類の絞り込みで消えた例1における, 入力文の動詞「頼る」の用言意味属
性は「対人的な行為」であり, 動詞「上京する」用言意味属性は「上下の移動」である. また, 日本語パターンにおける
の用言意味属性は「知覚感覚, 家庭生活の行為, 規則契約」であり, の
用言意味属性は「発生消滅, 行き来の移動」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.
<
IK第2分類の絞り込みで消えた例2>
(入力文)
母は赤ん坊をあやし(:0351)て笑わせ(:0342)た。
(日本語原文)
ストローを差しこんで飲んだ。
(英語原文)
She inserted the straw and drank.
(日本語パターン)
-00: /y </tk は> /tcfk を /cf (:0130,:7120,:8311)(て|で) /yf (:0342,:2100,:2233,:2450).kako。
(英語パターン)
-00: <She|> .past and .past.
(出力英文(評価))
Mother played the baby and laugh. (B)
同様に, IK第2分類の絞り込みで消えた例2における, 入力文の動詞「あやす」及
び「笑わせる」の
用言意味属性は「対人的感性」である. また, 日本語パターンにおける
の用言意味属性は「知覚感覚, 出入りの移動, 対象依存の行為」であり,
の用言意味属性は「対人的感性, 身体的動作, 対人的な行為」である. 入力
文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 「笑わせる」
とで意味属性が一致しているが, 「あやす」との意味属性が一致してい
ない.
<
IK第2分類の絞り込みで消えた例3>
(入力文)
彼は彼女を振り捨て(:8423)て他の女に走っ(:2130,:7000,:7520)た。
(日本語原文)
彼女は私を振って彼に走った。
(英語原文)
She jilted me for him.
(日本語パターン)
-00: /y $1^{/tcfk は} /tcfk を $1 /cf (:0252,:2120,:8120,
:8210)(て|で) $1 /ytck に /cf 走った。
(英語パターン)
-00: .past ^obj for ^obj.
(出力英文(評価))
He discarded her for her. (B)
同様に, IK第2分類の絞り込みで消えた例3における, 入力文の動詞「振り捨て
る」の用言意味属性は「創造破壊の行為」であり, 動詞「走る」用言意味属性は
「身体的動作, 移動行為の表現, 遠近移動の事象」である. また, 日本語パターンにおける
の用言意味属性は「個人的感情, 身体的動作, 単一的物体への行為」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.
<IK第3分類の絞り込みで消えた例>
<
IK第3分類の絞り込みで消えた例1>
(入力文)
先生は生徒の学力に合わせ(:1425,:4110,:5820,:5930,:5940,:8340)た試験問題を作っ(:1510,:2210,:4710,:4720,:5310)た。
(日本語原文)
彼はテープに録音した歌を消した。
(英語原文)
He erased the songs recorded on the tape.
(日本語パターン)
-00: /y $1^{/tcfk は} /tcfk に /cf ((:8300).kako^rentai|をした) /f を $1 /cf (:5320,:5520,:8320).kako。
(英語パターン)
-00: .past V(|).past on .
(出力英文(評価))
The teacher made a test apprppriated for the student. (B)
IK第3分類の絞り込みで消えた例1における, 入力文の動詞「合わせる」の用言意味属
性は「研究調査, 結成拡散, 拡散集合, 適合不適合, 均衡過不足, 液体」であり,
動詞「作る」用言意味属性は「創作活動, 生死生育, 農林業漁業, 製造業, 発生」である.
また, 日本語パターンにおける
の用言意味属性は「対象依存の行為」であり, の用言意味属性は「消滅,
光, 火」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.
<
IK第3分類の絞り込みで消えた例2>
(入力文)
彼にはその任務を果たせる(:0263,:1421,:5970)だけの能力がなかった。
(日本語原文)
それをするだけの勇気がなかった。
(英語原文)
I didn't have the bravery to do it.
(日本語パターン)
-00: /y </tk は> /tcfk を /cf (:1450,:2100,:2244,:2300,
:2320,:4510,:4770,:5910,:5913,:7720,:8312,:8360,:8421,
:8423)^rentaiだけの ! が /cf (無かっ|なかっ)た。
(英語パターン)
-00: <I|> did not have to .
(出力英文(評価))
He did not have the ability to carry out. (B)
同様に, 第3分類の絞り込みで消えた例2における, 入力文の動詞「果たす」の
用言意味属性は「願望努力忍耐, 研究調査, 順序と時間」である. また, 日本語パターンにおける
の用言意味属性は「まとめと発表, 身体的動作, 生活一般, 個人的な行為,
所有保存, 通知報道, 編集出版興業, 相互関係, 受領的移動, 物体表面, 紙上物
体, 分離破壊」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.
<
IK第3分類の絞り込みで消えた例3>
(入力文)
私の弁護士が私に代わっ(:7730)て合意書を作成し(:1424,:4720,:5310,:5920)てくれた。
(日本語原文)
弁護士が私に代わって問題を解決してくれた。
(英語原文)
My lawyer straightened the matter out for me.
(日本語パターン)
-00: /y #1{/tcfk が, /tcfk に} /cf 代わって /ytck を /cf (:1434)#[.tekureru].kako。
(英語パターン)
-00: -v3obj for ^obj.
(出力英文(評価))
The lawyer drew up an agreement for me. (B)
同様に, IK第3分類の絞り込みで消えた例3における, 入力文の動詞「代わる」の
用言意味属性は「交換的移動」であり, 動詞「作成する」用言意味属性は「研究
調査, 製造業, 発生, 要不要成立不成立」である. また, 日本語パターンにおける
の用言意味属性は「分類評価」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.
<IK第4分類の絞り込みで消えた例>
<
IK第4分類の絞り込みで消えた例>
(入力文)
彼にはその任務を果たせる(:0263,:1421,:5970)だけの能力がなかった。
(日本語原文)
彼には自分の意見を押し通すだけの力がなかった。
(英語原文)
He had little power to enforce his ideas.
(日本語パターン)
-00: /ytcfk には#1[/cf 自分の] /k を /cf (:0265,:2430)^rentaiだけの ! が /cf (無かっ|なかっ)た。
(英語パターン)
-00: had little to #1[^poss] .
(出力英文(評価))
He had little ability to carry out the task. (B)
IK第4分類の絞り込みで消えた例における, 入力文の動詞「果たす」の用言意味
属性は「努力忍耐, 実施実行, 順序と時間」である. また, 日本語パターンにおける
の用言意味属性は「奮起執着, 約束交渉」である. 入力文と日本語パターンの対応する動詞の用言意味属性を比較すると, 一致している用言意味属性は存在しない.
最も制約が緩いIK第1分類を用いた文型パターンの絞り込みにおいて, AおよびB
と評価された文型パターンが60パターン削除された. 削除された文型パターンと
入力文を調べたところ, 入力文と文型パターンの対応する動詞の意味が近いもの
は存在しなかった. よって, 用言意味属性の意味分類を再構成しても, 入力文に
適合する文型パターンが増える可能性は低いと考えられる.
次へ: おわりに
上へ: 考察
戻る: 意味属性の付与誤り
目次
平成18年3月24日