: パターン無しの内訳
: 実験の結果
: 格助詞、意味属性の深さの有効性
  目次
次に、格変化、点数計算を使用した場合の詳細を表7に示す。
一意正答(1):結合価パターン自体が一種類しか存在せず、そのまま対応し、
正答と判定できる場合。
一意正答(複):結合価パターンが複数存在するが、名詞の意味属性、格助詞
の一致判別によって一意になり、正答と判定できる場合。
複数正答:結合価パターンが複数存在し、
名詞の意味属性、格助詞によって候補パターンが
絞られたが、一意に絞れず、点数計算によって一意に絞られ正答となった場合。
表 7:
格変化、計算を使用した場合の詳細(1)
一意正答(1) |
一意正答(複) |
複数正答 |
慣用表現 |
パターン無し |
誤り |
19.3%(58/300) |
34.3%(103/300) |
19.7%(59/300) |
2.7%(8/300) |
19.3%(58/300) |
4.7%(14/300) |
また、表7について以下に示す。
一意正答(1)の例:老子が若返った。
「若返る」のパターン:(4 人)が若返る。
登録パターンが1つしかなく、入力文に適合する場合である。
今回の場合、老子は人属性であるので、パターンに適合する。
一意正答(複)の例:英文をもとに翻訳を進めた。
(以下、進めるの登録パターン)
登録パターン1:3が3 535を388 2610 318 2585から388 2610 318 2585に へ進める
登録パターン2:3が1001 1236を進める
登録パターン3:2355 838が1357を進める
登録パターン4:4が984を進める
・・・・・・・・・・
登録パターン10:3が1422を進める
10個のパターンの中で例文に対応するパターンはパターン2だけである。
複数のパターンがあるが、適合するパターンは1つしかない場合である。
複数正答の例:ロシア軍は激しい空爆と砲撃を加えた。
候補パターン1:(3 主体 533 具体物)が(1 全て)を(1 全て)に加える
候補パターン2:(3 主体)が(1762 攻撃 1858 懲罰 2058 害 1242 痛み 暴力)を(3 主体)に加える
候補パターン1の点数 = 12.000000
候補パターン2の点数 = 39.000000
照合によって結合価パターン候補が2つ以上に絞られるが、
一意ではないために点数計算によって一意に正しいパターンが求まる場合である。
慣用表現の例:予算の編成に知恵を絞る。
「知恵を絞る」は慣用表現となるため、
自動的に慣用表現のパターンが選択される。
パターン無しの例:見解を表明する。
「表明する」という動詞は登録パターンにあるが、該当する
パターンが無いためにパターン無しとなる。
誤りの例:首相訪米は予定通り行う。
「は」格が「を」格の性質を持つため、
「が」格として認識すると、「首相訪米」は主格にならないので誤りとなる。
次に、全ての正答と誤りについての詳細なデータについて表8に示す。
パターン無しと慣用表現を除いているため、総文数は234文となっている。
表 8:
格変化、計算を使用した場合の詳細(2)
◎ |
○ |
△ |
* |
× |
85.0%(199/234) |
5.6%(13/234) |
3.4%(8/234) |
5.1%(12/234) |
0.9%(2/234) |
完全に正答と言えるのは◎だが、○や△も正しい答えではあるので
総合的には正答としている。(よって正答は220/234)
また、表8について以下に示す。
1)◎:導き出したパターンの意味が正しい場合
2)○:導き出したパターンは正しいが、類似のパターンが他にも存在する場合
3)△:導き出したパターンの意味で正しいが、別の意味のパターンでも
意味が通る場合
4)*:形態素解析ミスによる意味の取り違いの場合、もしくは
格助詞が複数の意味を持つ為に正しい結合価パターンを導きだせなかった場合
5)×:点数計算で正しいパターンを導き出せなかった場合
1)◎の例:英語の本を携える。
照合パターン:(4 人)が(533 具体物 1002 抽象物(精神))を(594 手)に携える
今回の例では、パターンは一つしかなく、
意味的にも正しいので正答となる。
2)○の例:ドゥダエフ政権部隊の兵士が、南方に脱出している。
候補パターン1:(3 主体 535 動物 760 人工物 1000 抽象)が(388 場所 1000 抽象)を脱出する(7.5点)
候補パターン2:(3 主体 535 動物 760 人工物 1000 抽象)が(388 場所 1000 抽象)から より脱出する(4.5点)
点数計算上ではパターン1が正答となるが、
ほぼ同じ意味でパターン2の意味としても取れる。
3)△の例:ソ連は消滅した。
候補パターン1:(1 全て)が消滅する(3点)
候補パターン2:(3 主体 526 宇宙 533 具体物 2305 非生命現象)が(1 全て)を消滅する(8.5点)
点数計算上ではパターン2が正答となるが、
別の意味としてパターン1であった可能性もある。
4)*の例:関根容疑者が住民表を移した。
候補パターン1:
(3 主体)が
(2 具体)を
(388 場所 2610 場
533 具体物)[から、より]
(388 場所 2610 場 533 具体物)[に、へ]移す。
(正解)
候補パターン2:
(3 主体)が
(1000 抽象)を
(2051 実施)に移す。
パターン1の計算:(深さ3*3)+(深さ2*3.5)-(深さ4*1.5)-(深さ4*1)=6
パターン2の計算:(深さ3*3)+(深さ2*3.5)-(深さ8*0.5)=12
パターン1が意味的に正解であるが、点数計算上ではパターン2となり誤りとなる。
5)×の例:3日も首都空爆を行った。
「も」格が「に」格の意味を持つので誤りとなる。
: パターン無しの内訳
: 実験の結果
: 格助詞、意味属性の深さの有効性
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平成14年4月10日