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訳表現の多義性の原因

4.2節の表 4 ,及び4.3節の構造上の分類 より,Nが 1 以上の場合の平均対応数は,日本語から英語においては 4.1,英 語から日本語においては 3.1 である.また,1:N(複数)対応の割合が日本語 から英語で 66.3%,英語から日本語で 88.9%の割合である. これらの理由から多義性が生じたことが分かる.

多義性を生じたことは,対 訳候補が複数存在し,一意に決定する必要があることを意味する. しかし表 4 より,最大対応数が日本語から英語で 17 パターンと多いこと からパターンの一意決定が困難であると言える.17 パターンとなった日英パターンの対応 関係を表 12 に示す.

ここで,日番とは日本語パターンの番号を,英番とは対応する英語パターンの 番号を表す.表の左半分に目的の意味を持つ同一主語の日本語パターンを示す. また,右半分に,この日本語パターンに対応する英語パターンを示す.


 
 
Table 12: 最大対応数 17 パターンの対応関係表
日番 日本語パターン 英番 英語パターン
1A ( N1は) V1するように( N1は) V2する. 1a N1 V2 so (that) N1 can/may V1.
1B ( N1は) V1するため(に)( N1は) V2する. 1b N1 V2 in order that N1 (may) V1.
1C ( N1は) V1しようと( N1は) V2する. 1c N1 V2 with the idea that N1 V1.
1D ( N1は) V1しようとして( N1は) V2する. 1d N1 V2 in order to V1.
1E ( N1は) V1するつもりで( N1は) V2する. 1e N1 V2 so as to V1.
    1f N1 V2 for the purpose of V1ing.
    1g N1 V2 for the sake of V1ing.
    1h N1 V2 with a view to V1ing.
    1i N1 V2 with the view of V1ing.
    1j N1 V2 with the intention of V1ing.
    1k N1 V2 with the object of V1ing.
    1l N1 V2 with an eye to V1ing.
    1m N1 V2 with the idea of V1ing/ N2.
    1n N1 V2 by way of V1ing/ N2.
    1o N1 V2 to V1.
    1p N1 V2 for the good of N2.
    1q N1 V2 for the benefit of N2.

12 より,最大対応数が 17 パターンとなった理由の 1 つとして, 本研究の対象を英語において非重文(単文,複文)表現の書き換えを可能にしたた めと考えられる.特に,表 12 のような同一主語の場合に,非重文表 現への書き換えが多い.

平均対応数と 1:N(複数)対応の割合からこのような理由から多義性が生じ,最大対 応数から対応パターンを一意に決定することが困難と言える. そこで,対応パターンを一意に決定するために対応パターンを絞り込んでいく手 法が必要である.


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2002-03-06