例文が複数の意味にとれる場合の例を例12及び例13に示す.
例12:職場の不満から彼は家族の者に当たった。
対訳12:He was hard on his family because of complaints he had about his job.
ALT訳12:He corresponded to the person of his family from the discontent of a place of work.
例13:彼が転んだ彼女を起こした。
対訳13:He picked her up after she fell down.
ALT訳13:He woke up the woman who fell down.
例12は,対訳の通り『彼が家族に当たり散らした』という意味である.
しかしパターンの該当部分『彼は家族の者に当たった』だけに注目すると,
対訳の意味とは別に,「彼は家族の関係にある」という意味にも
解釈できる.よって
『1が
2に当たる』は,文によって『be hard on〜』と『corresponded to〜』
の二つの訳語を使い分ける必要がある.
ところがその使い分けには,この文の因果関係に注目する必要がある.一般に
因果を表す文は,原因と結果をそれぞれ節で表すため複文となる.そのため
単文レベルのパターンでは対処できない.これは現在の結合価文法による訳し
分けの限界だと言える.