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(6)例文が複数の意味にとれる場合

例文が複数の意味にとれる場合の例を例12及び例13に示す.

例12:職場の不満から彼は家族の者に当たった

対訳12:He was hard on his family because of complaints he had about his job.

ALT訳12:He corresponded to the person of his family from the discontent of a place of work.

例13:彼が転んだ彼女を起こした

対訳13:He picked her up after she fell down.

ALT訳13:He woke up the woman who fell down.

例12は,対訳の通り『彼が家族に当たり散らした』という意味である. しかしパターンの該当部分『彼は家族の者に当たった』だけに注目すると, 対訳の意味とは別に,「彼は家族の関係にある」という意味にも 解釈できる.よって 『$N$1が$N$2に当たる』は,文によって『be hard on〜』と『corresponded to〜』 の二つの訳語を使い分ける必要がある. ところがその使い分けには,この文の因果関係に注目する必要がある.一般に 因果を表す文は,原因と結果をそれぞれ節で表すため複文となる.そのため 単文レベルのパターンでは対処できない.これは現在の結合価文法による訳し 分けの限界だと言える.



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平成15年5月19日