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評価実験

評価実験では前述した三通りの方法でIPALの例文を英訳し、 その英訳文を『○』、『△』、『×』の三段階で評価する。 なお本研究では動詞の訳語選択能力について検討するので、 翻訳文と対訳の動詞が合っているかどうかに評価の重点を置き、 それ以外の修飾語の部分については、動詞の訳語選択に 影響を与えない場合は考慮しないものとする。 以下にその評価基準を述べる。なお評価例の『翻訳ソフトの例』 は全てALT-J/Eの翻訳結果を用いている。

1.
ALT-J/Eと翻訳魂の英訳文の評価基準

評価○
:翻訳ソフト(ALT-J/Eと翻訳魂)の英訳文が正解の英訳文と 対訳文と完全に同じ場合(例1)。 または翻訳ソフトの英訳文と対訳文が同じ動詞を使用しており、 文の意味も通じる場合(例2)。

例1:彼女は空を仰いだ。

翻訳ソフトの訳1:She look up at the sky.

対訳1:She looked up at the sky.

例2: 二つの川がこの地点で合う。

翻訳ソフトの訳2:Two rivers join in this point.

対訳2:The two rivers join at this point.

例3:ガラスの靴がシンデレラの足にぴったり合った。

翻訳ソフトの訳3:The shoes of a glass fitted the leg of シンデレラ suddenly.

対訳3:The glass shoes fit Cinderella's foot perfectly.

例3のように名詞が辞書に未登録で、その単語が訳されていない場合でも、 使用している動詞が同じで、日本人が見て意味が通じる場合は○とした。

評価△
:翻訳ソフトの英訳文と対訳文が異なる動詞を使用しているが、 導き出された英訳文が、文法的に正しく、日本人が見て意味が通じる場合。

例4:彼は彼女を車で自宅に送った。

翻訳ソフトの訳4:He saw her to his house by his car.

対訳4:He took her home by car.

例5:彼は準備を急いだ。

翻訳ソフトの訳5:He hurried preparation.

対訳5:He prepares quickly.

評価×
:翻訳ソフトの導き出した英訳文が間違っている場合。

2.
代表の訳語で訳す場合の評価基準

代表の訳語で訳す場合も基本的な評価基準は翻訳ソフトを用いた場合と 同じとするが、翻訳ソフトを用いた場合のように英訳が文として 導き出されないので、動詞以外の部分の訳は完璧であるものとして 評価した。その基準を以下に示す。

評価○
:代表の訳語と対訳文の使用している動詞が同じ場合。

例6:友人は旅館を営んでいる。

対訳6:My friend runs an inn.

代表の訳語:run

評価△
:代表の訳語と対訳文の用いている動詞が異なるが、 代表の訳語を用いても意味の通じる文が作れる場合。

例7:彼は指で軽くボタンを押した。

対訳7:He pressed the button slightly.

代表の訳語:push

例7の場合は対訳が動詞『press』を用いているが、代表の訳語の『push』に 置き換えても意味が通じるので評価を『△』とする。

例8:私の歌は彼に劣りません。

対訳8:I sing just as well as he.

代表の訳語:be inferior

例8の場合、対訳は『劣る』を「as well as」の構文を用いて 訳している。しかし、代表の訳語『be inferior』を用いても、 「My song is not inferior to his.」のような意味の通じる 英訳文を作ることができるので評価『△』とする。

評価×
:代表の訳語では意味の通じる文が作れない場合。




2001-03-23