一つ目の方法は、結合価文法を用いて翻訳する方法で、翻訳ソフトには 『ALT-J/E』を使用する。 二つ目の方法には、一つ目とは対称的に結合価文法を用いずに翻訳する方法をとる。 翻訳ソフトには『翻訳魂』を使用する。 そして三つ目に参考として、各動詞の最もよく使われる訳語のみで例文を 英訳する方法を用いる。
以下に各翻訳ソフトと方法について詳しく述べる。
ALT-J/EはNTTが研究開発した日英機械翻訳システムで、 翻訳のアルゴリズムに結合価文法を用いている。 よってALT-J/Eの導き出した英訳文を評価することによって、 結合価文法の有効性を評価する。
翻訳魂はオムロン社が開発した翻訳ソフトである。 このソフトの詳細なアルゴリズムは不明だが、 パッケージや説明書、翻訳結果の精度を見る限り、 結合価文法や意味関係を用いていないと思われる。 したがって翻訳魂の英訳文を結合価文法を用いなかった 場合の翻訳結果とし、『ALT-J/E』のものと比較する。
この方法では複数の訳語を持つ動詞の訳語を、最も 使用頻度の高い1語(代表の訳語)に決めて英訳を行う。 具体的に述べると、例えば、『落ちる』という語を 辞書でひくとfall,drop,give away,crash,…のように 多くの訳語が載っている。しかしこれらの訳語も それぞれ使用頻度が異なる。この『落ちる』の場合では fallが最もよく使われると思われる。 そこで『落ちる』という動詞を訳すときは全てfallで訳すという ふうに決める。
なお、この代表の訳語は『アンカー和英辞典』の 各見出し語の先頭に記載されている語とする。