英語の完了形には基準時以前に事態が実現し,基準時までその事態の結果が残っ
ていることを示す.
英語側のテンスとアスペクトを表す図表を用いて,日本語意味表現を英語時間表 現に変換する.例えば,図3の例文6,「雲が動いていた.」という文では,アス ペクトが動作継続であるから,進行形となり,テンスが発話時以前であるから, 過去形となる. よって英語時間表現は,過去進行形となる.
また,時間表現を日本語から英語に翻訳するにあたり,日本語動詞と英語動詞の時間表
現が1対1に対応していない場合や,異なった概念で用いられる場合があるため,
変換が必要になる.図5に単文における変換ルールを示す.
タ形はアスペクトの完了とテンスの過去を表すが,英語の過去形はテンスの過去, 完了形はアスペクトの完了と結果継続を表す.そのため(1)の変換規則で両者 に対応させる.
(2)では思考・知覚動詞のテイル形の変換を行う.日本語においては,思考・知
覚動詞がテイル形で用いられることにより動作継続を表すが,英語では動詞
自体が継続状態を表す場合が多いためである.
表4: 翻訳規則表(単文) | ||||
動詞の語尾の形 | 機能的意味 | 時間副詞 | 動詞の種類 | 英語での動詞の時制 |
過去完了・結果 | モウ,チョウド,スデニ,など | 外的動詞(結果動詞) | 過去完了形 | |
タ形 |
現在完了・結果 | モウ,チョウド,スデニ,タッタ今,など | 外的動 詞(結果動詞) | 現在完了形 |
過去の事象 | 過去のある時点(昨日,去年,など) | 過去形 | ||
動作動詞 | 進行形 | |||
テイル形 | 動作継続 | 思考・知覚動詞 | 現在形 | |
結果継続 | 結果動詞 | 現在完了形 | ||
現在の状態 | 状態動詞 | |||
現在の感情,感覚 | 内的動詞 | 現在形 | ||
ル形 | 習慣,真理 | 頻度を表す副詞 | ||
未来の事象,状態 | 未来を指す副詞(明日,来年など) | |||
ダロウ形 | 推量未来 | 未来形 | ||