まず日本語文のアスペクトを以下の表2から決定する.
表2では動詞の語尾形式と時間的性質からアスペクトを4つに分類する.動作継続 とは,ある動作がまだ進行中であることを表す.結果継続は,ある動作が基準時 以前に終り,その結果生じた状態が基準時まで続いていることを表す.
次に図1から動詞の示す時間と発話時との時間関係を決定する.
図1では,動詞の語尾形式から,発話時との時間関係を決定する.
120Dは全ての動詞(状態動詞,思考・知覚動詞,動態動詞)を指し,220D
は状態動詞,思考・知覚動詞,320Dは動態動詞をそれぞれ指している.図1から120Dの動
詞がタ形をとると,発話時より過去,220Dの動詞がル形をとると発話時現在
ということを表す.
従属節を含む文については,図1を拡張して,発話時,主節,従属節の表す時間
関係を決定する.従属節を含む文の例として、引用節を含む文のテンスを図2に示す.
以下に日本語文から意味表現へ置き換える例を示す.
(例文5) 大きな家がある.
(例文6) 雲が動いていた.
例文5は状態動詞「ある」がル形で使われているため,アスペクトは状態,
テンスは発話時現在となる.例文6は動作動詞「動く」がテイタ形で使われてい
るため,アスペクトは動作継続,テンスは過去となる.これらの例文のテ
ンスとアスペクトを意味表現に置き換えると次の図3のようになる.