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HMM(隠れマルコフモデル)は、モデルの出力シンボルが与えられても、状態遷移
系列が唯一つに定まらないモデルの事である。よって、観測できるのはシンボル系
列であることだけから隠れマルコフモデルと呼ばれている。HMMには、ある状態から全ての状態に遷移できる全遷移型(Ergodic)モデルや、 状態遷移が一定方向に進む left
to right モデルなどがある。
図1に簡単なHMM(left to right モデル)の例を示す。
Figure 1:
left to right モデル
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このHMMは三つの状態で構成され、2種類のラベルaとbのみからなるラベル系列
を出力する。初期状態はS1、最終状態をS3とし、図のような遷移のみ行なうも
のとする。
aijは、状態SiからSjへの遷移確率を示し、[ ]内の数字は上段がラベ
ルa、下段がラベルbを出力する確率を示す。
状態S1を例にとれば、S1から状態S1自身に0.3の確率で遷移し、遷移の際に1.0
の確率でaを出力し、0.0の確率でbを出力する。
出力シンボルがabbであった場合、状態遷移系列は
「S1-S1-S2-S3」、「S1-S2-S2-S3」の二通りがあり状態遷移系列を唯一つに決定
できない。よってこのモデルは、隠れマルコフモデルといえる。
maeta tomohiro
2000-03-16