next up previous
Next: 3.意味類型を用いたパターン対応方法 Up: 2.従来の研究と意味類型の必要性 Previous: 2.1 研究の背景

2.2 意味類型を用いたパターンの対応づけ


意味類型を用いた手法の例を従来の方法の例と対比して示す.



  
Figure 1: 日本語語彙体系に定義されたパターン対の例
\includegraphics[width=8.5cm,keepaspectratio]{zu1.eps}


1は日本語語彙体系[1]に示されている表現対応づけの例であ る.この図では,「N1がN2にN3をいれる」の場合を例にとると, N1が<主体>,N2が<施設>,N3が<設備,機械>の意味属性を持てば 「N1 install N3 in N2.」に対応し, N1<人>,N2<飲物>,N3<人>の場合は「N1 make N2 for N3.」に対応することを示 す. このように日本語語彙体系では,動詞と名詞の組合わせでパターンが1対1で対応しており, 単文レベルで大幅の翻訳精度の向上が見られた. しかし パターンの対応が単一的で,文脈に応じて適切な パターンを選ぶことができないという問題点がある.

これに対して,図2は意味類型を用いて日本語と英語のパターンを 対応づける方法の例である.この手法は意味 類系を介して,原言語のパターンと目的言語 のパターンが複数対複数で対応されるため, 訳語の表現を選択する自由度が増し, 文脈に最も適した目的言語の表現を選択できる可能性がある.



  
Figure 2: 意味類型を用いた日英パターンの対応例
\includegraphics[height=6cm]{zu2.eps}


しかしこの手法は, 1つの原言語のパターンに複数の目的言語のパターンが対応するため, 目的言語のパターンを一意に選択する手法が必要となる.

このような意味類型を介した翻訳を実現するためには, まず1つの原言語のパターンに意味的・構造的に 対応している複数の目的言語のパターンを対応づける必要がある. そこで本研究では,比較の文を例としてとりあげ,比較の代表的な意味, 細かい付加的な意味,品詞の種類・数に着目して対応づける 仕組みを作成する. また,複数の目的言語のパターンの中からパターンを一意に 選択するため, パターンの外の単語やパターンの中の変数に着目し 文脈上適切と考えられるパターンを選択する手法を示す.





2002-02-09