評価の内容を明確にする意味も含めて、各評価の具体例を あげながら考察を行う。評価1の具体例に関しては、3.2であげた例と同様であ るため、ここでは特に不正解の例を取り上げる。
評価2の具体例
「船の上をカモメが旋回している」
この例の場合、今回の手法では「カモメ」が「船」の上に乗っているのか、飛ん
でいるのかが判断できないために、次のような解を得る。
「船の上に広がる空間のなかにカモメが存在」
(正解:船の上に広がる空間の空中に存在)
本手法では、用言から情報を得るときに他の
語との意味的関連を見ていないことが原因としてあげられる。
評価3の具体例
「私は教室のうしろの席に座った」
この場合、本手法ではこの位置関係は以下のようになり、まったく見当違いの不
正解となる。
「教室の外側の後方に席が存在する」
(正解:教室内部のうしろ側に席が存在)
2つの対象の関係に包含関係を扱っ
ていないことが原因として最も大きいが、2つの対象の性質の関係だけでなく、
ものとしての一般的関係も考慮に入れる必要があると思われる。
評価4の具体例
「富士山が雲の上にそびえている」
これは、「雲」と「富士山」の性質の関係に矛盾が生じるために答えを得るに
至らない。具体的には、「雲」が対象を支持できる特性を持たないにも関わらず、
「富士山」がその上に支持されて存在しなければならないという矛盾が発生して
しまい、位置関係を得られない。
もうひとつは、対象の持つ性質が多様なために、
今回扱ったようなパラメータだけではその特徴が表現しきれず、ルールが対応で
きないような場合で、以下のような対象が該当する。
・特性が多様である
草、(単体の場合と集合体の場合)など
・実体をもたない
影、明かり、暗闇、跡など
このような例については、対象と対象、あるいは対象と用言など、語句同士の意
味的関係に注目することによって多様な性質を絞り込むことができるのではない
かと思われる。