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陳述度について

ここでは、日本語複文の分類において、 英語の「節」構造と「句」構造への対応に用いる 「陳述度」について述べる。

「陳述度」:「文としてのまとまり、完結性の度合。文であるか、ないとすれば
文にどれほど近いかを表すもの。」

英語では、主語名詞と定動詞の結び付きが「文」の単位であるという明確な形式的・客観的基準があり、それが他の一部を成すときは「節」となり、不定詞や分詞による「句」の構造とははっきり区別する手立てがある。 しかし日本語では、動詞、形容詞、存在詞が言い切りの形で終わればそれで文に成り得るという最低の必要条件はあるが、文と単なる概念を表すだけの動詞についての、形式的基準は求め難い。 例えば、「彼がいつも電車の中で読む本は、・・・」という下線部と、 「何か読む本は、・・・」の下線部とでは、その''文らしさ''において差があることが感じられる。 後者は、テンスも場面性も無い形で、英語で言えば不定詞で表すような内容となる。 よって、''文らしさ''を表す「陳述度」の概念が、英語の「節」と「句」に対応させるために有効であると考えられる。
本研究では、具体的に、図4に示す陳述度の設定を用いる。 これは、寺村2)の5段階の設定に、 陳述度1を現在形、過去形でaとbに分け、また、陳述度2に「〜できる」、「〜ない」を付加し、 英語の「節」と「句」に分類する上での、精度向上を図った。



MatobaKazuyuki 平成11年4月23日