意味ベクトルを定義するためには,まず文中のどの単語が交替現象と関わってい るかを知る必要がある.これに対して,抽象名詞「こと」に関しては,「こと」 に係る語と「こと」が係る語で,ほぼ意味が決定することが分かっている[8].
つまり,この例文の場合は「彼が一人で行った」という「こと」に係る語と「確 かです」という「こと」の係り先が重要になってくる.これは,同じ品詞である 「の」にも当てはまると考えられる.また,文中の「の」の役割を考えると, 「の」の直後の助詞も重要であると考えられる.そこで,意味ベクトルを次の四 次元ベクトルで定義する.
ここで,本研究では意味属性に日本語語彙体系[9]を用いる.これ
には一般名詞意味属性と用言意味属性があり,それぞれ2710,36の意味属性に分
類されている.そして,それぞれのノードは上位下位関係を持ち,一般名詞意味
属性体系は最大12段,用言意味属性体系は最大4段の木構造にまとめられている
(図1参照).
また,助詞番号は表2のように設定し,相互の関係はないものとする.
ただし,上記の定義に当てはまらない場合も存在するため,以下のような例外処 理を行う.