の型名詞句の場合とは異り,並列型名詞句の場合,形容詞は名詞Aに必ず係ってい る.このことから,先の頻度統計を用いた解析では名詞Aと必ず共起するので,正し い係り先が決定できないと思われる.本研究では「形容詞+並列型名詞句」の係 り先を決定する手法として,抽象度の概念を導入する.
上の例では「弱い」が「者」に,「危ない」が「家具」と「品物」に係っている. 2つの例文から名詞Aと名詞Bを比べると,「者」は「ボランティア」に比べ,抽 象度が高く,「家具」は「品物」よりも抽象度が低いと考えられる.これらのこ とから,形容詞は並列型名詞句に対して名詞Aの方が抽象度が高い場合はA係り, 抽象度が同じか名詞Bの方が抽象度が高い場合にはA&B係りになると考えられる.
そこで,意味属性が木構造であることに着目しノードの深さを抽象度とすること で係り先を決定する手法を提案する.まず名詞Aと名詞Bをそれぞれ意味属性A,意 味属性Bに置き換える.そして意味属性体系よりそれぞれの意味属性の深さを比べ その逆数を抽象度とする.名詞Aの抽象度の方が高い場合はA係り,名詞Bの抽象度 の方が高いか,同じ場合はA&B係りとする.