3.2で挙げたの6つ分類について検討する。 まず1)の「多義のない名詞」はもともと多義が無いため、 2)の「ほぼ一意に決定できる名詞」は最もよく使われる候補を選ぶことで 8割以上の正解率が得られるため、5)の「訳されないことが多い名詞」は省略 されることが多いため、それぞれ大きな問題にはならないだろう。 また3)の「有力な候補がある名詞」についても突出した候補があるため、 それを選択することである程度の正解率を得ることができる。 次に6)の「名詞以外に訳されることの多い名詞」ついては、他の語との組み合わ せで訳語が決まるものが多く、名詞単独で問題になることはあまりないと 思われる。 最後に、分類4)の「同程度の出現頻度の候補を持つ名詞」が最も 問題になると思われるが、これらに対して 意味属性による訳し分けを行った結果、辞書上での平均多義数が3.0から1.4に減少、 平均正解率が53.8%から92.2%に向上するという効果が得られた。 しかし、意味属性の効果が全く無い名詞もあるため、 これらの名詞については見出し語ごとに個別に検討する必要があるだろう。
なお、1)から4)の分類にあたる63語に対して
最も使用頻度の高い候補を選ぶという方法
を適用した場合、48.6%の平均正解率が得られた。