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南は、従属節に現れる助動詞や助詞の種類の違いが、客体的表現から主体的表現に
至るまでのいくつかの段階を明らかにするための言語上の特徴を表していると考
え、従属節を次の3種類に分類した[1],[2]。白井ら
[3]は南の考えを生かしながら、計算機処理を可能にするために語尾表
現を長い単位でとりだして同様に3つに再分類した。
- A類:「〜ながら」「〜とともに」等、同時の表現
- B類:「〜て」「〜ため」等、「原因」「中止」の表現
- C類:「〜が(逆接)」、独立の表現
A類、B類、C類の順で優先度が高いとし、以下の規則にしたがって係り受け関係
を決定している。
- 優先度の低い従属節は優先度の高い従属節に係る。
- 優先度の高い従属節は優先度の低い従属節には係らず、それを越えてよ
り後ろの従属節、もしくは文末に係る。
その他に、読点、連用形の中止性、述語の状態性と動作性を用いて詳細な優先度
設定を行っている。
読点の有無:同類同士の従属節の間では、読点の付与された従属節の方が、
読点の付与されていない従属節よりも優先度が高い、つまり、従属節の優先度の
大小関係は、A<A+読点<B<B+読点<C<C+読点、となる。
連用節の中止性:B類、B類+読点、同士の従属節では、表現の意味的な流
れの中止性の強弱により、以下の2種類に分類でき、中止性の強い従属節は中止
性の弱い従属節よりも優先度が低い。
- 中止性の弱いもの:用言連用形、「〜て」、「〜ため」など7種類
- 中止性の強いもの:「名詞+で」、「〜ており」など4種類
述語の状態性と動作性:B類、B類+読点、同士の従属節は、動作性の強い
順に、他動詞性、自動詞性、形容詞性、名詞性の4種類に分類でき、動作性が強
いほど優先度が高い。
引用節と連体節の扱い:連用節から引用節への係り受けにおいては、「〜
すると(発表する)」などの引用節の優先度は「C類+読点」に準じ、「〜するよ
う(依頼する)」などの引用相当節述語の優先度は「B類+読点」に準ずる。一方、
連用節から連体節述語への係り受けにおいては、形式名詞に係る連体節述語の優
先度は「B類+読点」に準じ、その他の通常の連体節述語の優先度はB類に準ずる。
以上の方法は日英機械翻訳システムALT-J/Eによって実現されている。
asano
2000-03-15