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音声認識におけるアクセント情報の持つ情報量

実際の音声認識(例えば[1])においては、音素系列を 決定する目的のために、韻律情報を利用する場合が多いと考えられ る。このために用いられる韻律情報の情報量を定量的に求めること は困難であろう。

今回の実験は、音声認識において、音素系列が正しく与えられた上 で、かな漢字変換したときに生成される漢字かなまじり文をどれく らい減らせるかを示すことによって、韻律情報(アクセント情報)の 情報量を定量的に把握したものである。韻律情報は正しく与えられ るものと仮定しているから、これはかな漢字変換の視点から見た、 利用できる韻律情報(アクセント情報)の情報量の上限を与えるもの と考えられる。

この意味では、今回情報量を把握した韻律情報は、上記のような一 般の音声認識での韻律情報とは若干異なる性格のものであるが、一 応の目安にはなるであろう。今回の実験によって、韻律のもつ情報 量は、かなり大きいことが示されたことから、韻律情報は音声認識 において認識性能を向上させる有効なパラメータであると思われる。



Jin'ichi Murakami 平成13年10月5日