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確率付き有限状態オートマトンとHMM

有限状態オートマトンは,オートマトン理論や計算理論で研究されるオートマ トンのなかで最も基本的なオートマトンである.有限状態オートマトンは状態 遷移図によって表現され,これが直感的で理解しやすい.有限状態オートマト ンの例を図1に示す.

単純な有限状態オートマトンでは,状態が遷移するときに,1つのシンボルを 出力する.図1では,$ a,b,c$ がシンボルである.

しかし,複数のシンボルを出力することもできる.複数のシンボル を出力するときに,それぞれのシンボルの出力に確率を付けたのが,確率付き 有限状態オートマトンである.また,状態遷移が複数あり遷移先が一意に決定 しない非決定性有限状態オートマトンに,遷移の確率を付与したモデルで もある.

図: 有限状態オートマトンの例
\fbox{
\includegraphics[scale=0.30]{figure/network.eps}
}

HMMは,確率付き有限状態オートマトンと同じパラメータを持つ.しかし,確率 付き有限状態オートマトンは,任意の時刻に,どこの状態にいるのか明確に定 義できるのに対し,HMMは,任意の時刻に,どの状態にいるのか定義できない. つまり,任意の時刻において,それぞれの状態に存在する確率で表現される.



Jin'ichi Murakami 平成22年9月2日