モデル化実験で得られた結果のうち、 もっともエントロピーの小さかったモデル (10状態HMM、SET2、entropy = 1.98) から抽出した文法の概略を図 2に示す。 抽出のアルゴリズムは、 同一タスクにおけるモデル化の揺らぎを調査した時と 同じものを用いた。
図 2に示される番号は、 HMMの状態番号である。 先に述べた副詞を含む文節を生成する遷移は、 図の左半分、 、 の部分に相当する。
図の上半分、 、 の部分は、 接尾辞を伴う名詞ないし複合名詞を生成する。
図の下半分は、用言を生成する遷移に相当する。 が自立部を形成し、 , , が付属語を生成する。
なお、間投詞は状態 , , , を 除く全ての状態から遷移する時に生成される。 図では省略している。 また、このモデルでは、 任意の状態から遷移を開始することができるが 状態 , , , は、 他の状態からの遷移がないので、 事実上イニシャル・ノードとなっている。
図中の遷移には、 、 、 、 のように異なる経路で同じ品詞列を生成するものがあり、 やや冗長な構造になっている。 ただし、 この他のモデルでは、 エントロピーの増加とともに冗長パスや 生成する品詞が曖昧な遷移を多数生じるようになる。