ここで,図10の構造を見ると,各文法属性間の段数は少ないから,最終段の文法 属性のみを使用した構造規則を生成する.このようなフラットな分類では,決定 木を作り,それより式(1)の形式の規則を作成する方法が便利である.ここでは, 決定木生成では,プログラムC4.5(Quinlan 1995)を使用する.
その結果,得られた規則のカバー率は,,また,その範囲での正解率は, であった.従って,全体の正解率は,である.得られた構造規則の うち,正解率以上を示したものを表3に示す.
表3 解析精度の良い構造規則(正解率 以上) | ||
# | 文法属性による構造規則 | 適用される名詞句の例 |
1 | 「昔のままの姿」,「大人のための物語」 | |
2 | 「玄関の石段のところ」,「声楽の勉強のため」 | |
3 | 「湿原の向こうの林」,「海の彼方の国々」 | |
4 | 「彼の小説の数々」,「新宿の二丁目の近く」 | |
5 | 「窓のガラスの向う」,「逢坂の関の彼方」 | |
6 | 「事件の残酷さの意味」,「もとの静けさの なか」 | |
7 | 「砂のくぼみの中」,「岬のつづきの丘」 | |
8 | 「彼の指揮の下」,「私 たちの受験の頃」 | |
9 | 「ここの学校の子」,「こちらの膝の上」 | |
10 | 「父の死の直前」,「山本の訓示のあと」 | |
11 | 「ピアノの稽古のため」,「司祭の 不在の間」 | |
12 | 「漁夫の生活の厳しさ」,「父の声の暗さ」 |
これらの結果から,以下のことが分かる.
このうち,1)は,意味属性に比べて文法属性の方がカバー範囲が大きいためと考 えられる.また,2)は,意味属性に比べて品詞コードの分類が少ないこと,中で も大半の事例を構成する名詞は,「一般名詞」に属すため,分解能が低いことが 原因と考えられる.